過去の中-1
小学5年生の秋。
ちづるは朝から緊張していた。
その日は作文の発表があった。
1人づつ皆の前に出て自分の書いた作文の発表をする。
作文のテーマは
「皆のために、出来る事。」
真面目なちづるは、皆が休み時間、遊んでいる時も必死に作文を書いていた。
そして、発表の時。
ちづるは、緊張で腹痛になっていたが必死に作文を読んでいた。
そこに、隣のクラスの先生がきた。
「〜〜。」
「〜〜。ちょっと、常盤さん、発表続けてね。終わったら席に戻ってて。」
担任の男の先生はクラスから出ていき、バタバタと廊下を走ってる音がした。
「、?」
ちづるは言われた通り発表を続けた。
作文を半分まで読んだ時に、ちづるは気がつく。
皆、クスクス笑っている。
「、、?」
最初は気のせいだと思った皆の声。
どんどん大きくなってゆく。
ヒソヒソ話も聞こえてくる。
(やばー、、)
(え、うそ)
(〜〜。)
(〜〜。)
クスクス、、
クスクス、、
クスクス、、、
な に ?
みんな 笑ってる、 、 ?
なんで、、? なんで、 、 ?
なんで、 、 ?
なんで、みんな、笑うの、?
、 、なんで 笑うの 、 、 ?
、 、なんで、 笑うの、 ! ?
自分の心臓の音が、どんどん大きくなる。
自分の声が、全く聞こえない。
しかし、真面目なちづるは、最後まで作文を読もうとした。
あと少し、、、。あと少し、、。
あと少し、、あと少し、、、あと少し、あと少し、あと少しあと少しあと少しあと少しあと少、、、、
足は、ガクガクと震えていた。
そこに、担任の先生が入ってきた。
「常盤さん、おわった?
、あ ! 」
、 、 ? 、
「ちょっと、作文、もういいから、
誰か!ティッシュ! ない?」
教室がザワザワしている。
誰もティッシュを出さないのを見て、先生は慌てて自分の鞄からティッシュを出した。
「はい、鼻ふいて!
席に戻って、しばらく上むいてなさい。あ、保健室、行く?」
「、 、 、ぁ 、」
ちづるはティッシュを見て、自分の鼻血にやっと気がついた。
鼻血は小さい頃から出やすい体質だった。
「、 、 、 、 。」
身体が硬直して、席から立つ事は出来なかった。