「どうでもよくないこと」-1
言ったら悪いけど、そこらへんのニートとかフリーターに落ちぶれる気はなかった。
仕事をやりもしないで、自分の好きなことをしたいと言いつつ何もしない奴らを甘ったれていると思い、見下していた。
そんな奴らが生きていける、恵まれた日本にもうんざりしていた。
季節は初夏。
あたしは高二。
人生で成功を収めるために生きている。
成功といっても会社を設立して巨万の富を築くためではない。ただ普通に、自分と結婚相手と子供がお金にも愛情も不足せず、生きていければいい。
それがあたしの成功。人生の最終目標。
当たり前の幸せが当たり前にほしい。
「リナちゃん!俺、ずっと前からリナちゃんの事好きなんだ!!付き合ってほしい!!」
あたしは驚いた顔で彼を見つめる。
体育館裏に呼び出しといて言うことっつったら一つだろう。それ言うのにやけに時間かかったなオイ、って内心思いながら。
「返事を…聞かせてほしい…」
一つだ。
「ごめんなさい…、リナ他に好きな人がいるの」
男をふるにはこの手に限る。
あたしの目には大粒の涙。我ながらカンペキだ。
「リナ、ばかだからその人のことずっと忘れられなくて…」
「そっか…その人にリナちゃんの気持ち伝わると良いな…」
「ありがとうございます。すいません…」
そう言うとあたしに告白した人は去っていった。
季節は初夏。
いつもと、変わらない日のはずだった。
「なんで、ふっちゃったの〜?彼、なかなかイケメンやん。」
どこからか彼はひょっこりあらわれた。
うちの高校の人じゃない。
制服を着ていないし茶髪で、あたしよりいくつか年上に見える。