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「どうでもよくないこと」
【純愛 恋愛小説】

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「どうでもよくないこと」-2

「誰?」

「木原隼人(キハラハヤト)サッカー部の臨時顧問」

「あっそ」

あたしは、それだけ言うとその場を立ち去ろうとした。

「まあ〜、待て待て待て待て。俺の質問に答えてよ、なんで彼ふったの?」

「一、呼び出されてから告白するまで時間がかかったから。行動力の無い男はキライ。
二、断ったときにあたしを追い掛けてこなかったから。本当にあたしが好きなら傷ついてプライドずたずたになってもくるでしょ。
三、生理的にムリ」

あたしは一気にそう言うと、この男のもとから去ろうとした。

「待て待て!ジャストモーメン!最後にひとつ!忘れられない人がいるってウソだろ?」

あたしは彼のほうに振り向く。


「ウソだよ」



帰り道を歩きながら、考えた。

今までばれたことが無かったのだ。

忘れられない人がいるから付き合う気にはなれない、そう言えばみんなあたしを諦めた。

初めて会った人に見抜かれるなんて以外。

まあ、そんなことどーだって良い。

あたしのことを見抜いた木原隼人もどうでもいい。
だって、サッカー部の臨時顧問なんてヒマだからできることでしょ。

よかったね、ヒマで。
よかったね、それなのに生きていけて。

あたしはそんなことを思いながら、帰り道を歩いていた。


「駅前にオープンしたエステです、どうぞ〜」

あたしは目の前に差し出されたティッシュを受け取る。

「ってアレ?さっきの子」
顔を上げると、木原隼人だった。
「あんた、さっきまで部活の顧問してたじゃん?」
あたしは確かに歩くスピードは遅かったかもしれないが、まっすぐこの道をきたのだ。

「やること指示して俺はバイトへ来たの。すみやかに金が必要だから」

「なんで?借金でもしてるの(笑)」



「うん、妹が手術するのに金が必要なの」


彼は表情を変えなかった。いつもと同じように、自分にとってたいした会話じゃないことを話すように、優しくしゃべった。

あたしの心臓がドキッとする。

木原隼人はそれを見透かしたように笑った。



「信じた?」



「信じてない」

あたしは速答する。


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