2週間後-1
あれから2週間。
9月になった。
タクミとちづるは会っていない。
2日に1度ぐらいのペースでラインのやりとりをしている。
内容は他愛もない日常会話だ。
タクミは、学校が始まり学校とバイト先を往復する日々だ。
今日も夜、ラインでやりとりをしている。
【パートの面接?】
【うん。ずっと探してはいたの。】
ちづるは明日、パートの面接に行くらしい。
【へー。どこ受けるの?】
【駅の近くのバーミーっていう、ファミレス。】
【あそこか。そーなんだー。
受かったら、作ったりすんの?】
【ホールにした。作るの自信ないし(^_^;)】
【そっかー。頑張ってね。】
【ありがとう。ちょっと緊張するけど頑張る。】
タクミは、ちづるに会いたいと思っている。
だが、今のところ、ちづるに会う意思はないように見えた。
一方のちづるは、このラインのやりとりだけの日々に、ホッとしていた。
拘束の体験はちづるにとって刺激が強すぎた。
タクミの、ちづるに無理強いはさせたくないという気持ちは本当だった。
ピンポーン。
タクミの家のインターホンが鳴る。
タクミはドアを開けた。
由佳がきた。
「ちょっと早めにきちゃった!
お母さん、今日帰ってこないよね?」
「あー、、、うん。」
タクミは由佳を家に入れた。