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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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N.-12

真夜中の公園で話すとき
見違えるような 言葉が浮かぶんだ
最大の敵は自問自答
それぞれがあり得ない妄想をする


2年前に書いた歌詞だ。
周りの人が人間ではなく見えてしまって、自分を攻撃して笑っている…そんな夢を見たからかもしれない。
こんな歌詞でも「陽向らしい」って笑ってくれる海斗がいたし、「宇宙的なやつならこの音だよね」って楽しそうにする洋平がいたし、それに合うリズムを創り出してまとめる大介がいた。
あたしたちHi wayは、根本はテキトーで、誰かに何かを与えられなきゃ生きていけないバンドだった。
でも、確かな何かを見つけた時に、真っしぐらにそれに食いついて各々を高めていった。
それが、全国を周ろうっていう話だった。
シビアな勤務の合間にそれを練り込むのはそう簡単ではなくて、でも、冷めやらぬうちにそれを実現したかった。
夢があったから。

洋平は、誰もが知っているギタリストになりたいと思っていた。
ライブ中でも思う。
俺を見てくれ!って煽りがすごいから。
それだけ自信を持てることは素敵だし、あたしにはない才能だから、羨ましかった。
本当に上手いから、洋平ならどこでもやってけるよ。
そう思った。

海斗は、IT企業に勤めていて、それは毎日忙しい日々だった。
本社が品川だからそれなりに集まるのは大変だったと思う。
なのに、集まった時にいつも外さないベースの音は涙が出そうなくらいにしっくり来てて、あぁ…これだな、って思える唯一のリズム隊だった。

大介は高校を卒業してから、何度となくバイトを変えていた。
「おめーらの仕事とかマジクソだわ!」と言って、店長と喧嘩した後に練習だったことは日常茶飯事で、荒々しくドラムを叩くのだった。
そんな大介も更生し、今ではダーツバーの準社員だ。

あたしは、ボーカリストになりたいと思っていたこともあったけど、看護師になってからは今のままでいいのかもと思っていた。
根底には責任逃れだとか、売れなかったらどうしようとか、そんな気持ちがあったからだ。
それでもあたしたちを良いと言ってくれる人がたくさんいて、このまま突っ走りたいと思った。
その矢先、妊娠していることに気付いた。

これが、うちらの人生なんだ。


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