ある感情の軌跡B太陽-3
俺と同じだ。俺もわからない。でも俺はもう欲しくない
『素敵だよねぇ』
くーちゃんは言った。
素敵?
『きっと恋とかって周りが見えなくなっちゃうものぢゃん?』
周りが見えないのは自己チューって言うんじゃないの?
『んー、だけどー。だけど大切な人のためならスゴイと思うょ』
大切な人のため?
『んー、だからぁ、好きな人に好かれたかったりして頑張るのって好きな人のためぢゃん?』
自己マンじゃないの?
『自己満足でいぃんぢゃん?』
え?
『大切なのは一人よがりでもちゃんと好きになることだょ』
ちゃんと
『うん。好きな人のために何か願ったり望んだり』
…そっか。そうだったんだね。
俺は感動していた。
俺にはない価値観だったんだ。
くーちゃんはマジメだ
真面目という単語を辞書でひいてみた。
真面目…真心のあること
やっぱり、くーちゃんは真面目なんだ。
それから日に日にくーちゃんに惹かれていった。
心から
――――――――――
『フラれちゃったかぁ』
長井も酔いがまわったのか、ついに本題を口に出した。
『フラれちゃったねぃ』
告白の後、道場に戻った俺は長井の家に行って残念パーティーを始めた。
『でもタカさ、なんか柔らかくなったよっ。昔はもっと何か悪そうだったし』
笑いながら核心をつくようなことを…あなどれない男だ
『くーちゃんは俺の太陽だからな』
俺も笑いながら言う
『太陽とはクサイなぁー』
『お前の彼女はエンジェルだろ?』
長い片思いのすえ、長井は麻衣子と付き合っていた。
『ははっ羨ましーだろ〜確かに俺にはミラクルだからエンジェルかもな!』
嬉しそーに自慢しやがって
そんな時、長井の携帯が鳴った
『麻衣子からか!?』
俺ははやしたてる
『麻衣子からだ』
ニヤける長井。幸せな奴