愛と優しさ-2
「どーゆー事かなぁー!?若葉をずっと待たせる何てっ!」
「!!…そ、それは。」
怒りをぶつけるように佐伯君の机を思いっきり叩く巴ちゃん。
「ずっと待ってたんだよっ!?アンタが来るって…!それなのに何時まで経っても来ないで、連絡一つ寄越さない!…自分が何したか分かってる!?」
「ゴメン…。」
「いやゴメンじゃない!何でこんな事をしたのかって聞いてるのっ!」
「それは…。」
バツ悪そうに目を合わせない彼。全く困った人…。私は曇った表情を浮かべ、小さく見える彼へ近寄り、口を開く。
「本当、何ですか?早乙女先輩の所に行っていた…って。」
「えっ!?」
ギョとした顔で私に振り向く巴ちゃん。それは昨日私が痺れを切らし電話を掛けた時。
「私、日にち間違えましたか?いつまで待っても貴方の姿が見えませんが。」
「いや、間違ってはいない…、昨日しっかり約束したし…。」
約束、それは昨日の帰り道。
「ぬいぐるみ展?」
「はい、札幌アスタで開催されておりまして…。」
「……。」
「スミマセン、こんなイベント興味…ありませんよね。」
「あぁ、ないな。」
「やっぱり…。」
「で?何時にする?」
「はい、それじゃー…ってあ、あの。」
「何?」
「何…って、興味無いんじゃ…。」
「あぁ、ないよ、そんなもの。」
「だったらぁっ!」
「ぬいぐるみには興味は無い…。けど、君と一緒に行く催し物には興味深々サ…。」
「佐伯…君。」
ニコッと太陽のような笑顔を見せる彼。
「でも…、それでもぬいぐるみ展ですよ?女の子は良いけど男の子の貴方からは…。」
「大丈夫。なるべく合わせるようにするからさ。」
「……。」
「好きな人と行く所は何処だって楽しいよっ!だからさ…。」
「佐伯…君。……ありがとう。」
…そう言って約束、したのに…。
「なのにっ!…若葉とのデートをすっぽかして元カノの所に行く何て…。」
「そ、それは…その。」
「まさか、あの女とよりを戻しに言ったんじゃ。」
それを聞き、心臓の鼓動が乱れ指先が冷たくなる。
「そんなんじゃない!」
「!!」
「俺は柊さんが大好きだ!その気持ちは変わらない。」
こないだ公園で私に誓ってくれた事を思い返す。先ほどと違っハッキリとした口調で目も
真っ直ぐこちらに合わせ。心臓の鼓動も落ち着き、指先も元通りに。
「……じゃー、どうしてアイツの元に行ったの?」
巴ちゃんもクールダウンし、冷静に問う。
「ゴメン柊さん、傷つけて…。」
「いえ…。」
「実は……。」