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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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愛と優しさ-3

いつ目にしても心躍る「ドーナツ100円セール」のポスター。この時間帯はカップルや
女子高生で賑わっている。

「お母さんが倒れた…って。」
「えぇ…。」

「支度をして、いざ待ち合わせ場所に行こうとした時、急に電話が、しかも非通知で…出たら早乙女先輩で。」
「……。」
「勿論、軽く受け流してすぐ切るつもりだったんだけど…、電話越しから「どうしょう!お母さんがっ!お母さんがっ!、急に倒れてっ!」って。」
「え…。」
「私こういうの初めてで、どうしたら良いのか分からなくて…。頼れるのも佐伯君しかいないしっ!…って。」

カラン…というグラスの中の氷が落ちる音がする。

早乙女先輩の家は両親が離婚して父親が出ていき、上に兄と姉がいるけどそれぞれ独立したらしくて…、その話は元恋人だった佐伯君から聞いて。

「珍しいね、あの姉御肌で強気な先輩がそんな真似を…。」
「それじゃー、仕方…ありませんよね。」
「だからって許せないわっ!あいつ。」
「でも、それは不運にもデートの日に電話が来て。」
「どんな理由にしたって電話の一本くらい寄こせっつーのっ!」
「………。」

佐伯君らしい判断だ…、心優しい彼ならば…、それに親が倒れたって、きっと他人事に思えなかったんだろうな…。

でも、…それでも。


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