俺のラブストーリー〜出会い〜-2
大学、バイトなどの身の回りを全てリセットして俺は新しい道を探す事を決めた。最初に両親に大学をやめると言った時は反対されたが、やがてわかってくれたようで…最後には
「頑張れ」
と二人とも言ってくれた。俺はその言葉が嬉しくて…また少し泣いてしまった。
しかし、大学をやめる事だけは回りの友人達には誰にも言わなかった。というより言えなかった。理由を聞かれる事は間違いないし、それに答える自信もない。そして、必ずあの二人が俺を説得するに決まっている。そうしたら俺は何をするのかわからない…だから…だからこれでいいのだ。今は誰にも知られずいつの間にか消えた人間…そんな風でありたかった。
「……きは間もなく、那覇空港に着陸します。シートベルトをお締めください」どうやらいつの間にか眠っていたらしい。もうすぐ目的の土地に到着するようだ。
指示に従ってシートベルトを閉めてまた目を閉じる。
新たな生活が始まる事に胸を踊らせて、飛行機は沖縄の那覇市に着陸した。
空港から出てみるとそこはもう別世界だった。
太陽の光、ハイビスカス、沖縄独特の明るい雰囲気、どれをとっても素晴らしいものだった。
気持ちがいい…
おそらくこのバタバタとした一ヶ月の中で一番素直な気持ちになっただろう。
やっぱりこれは沖縄の土地柄なのだろうか…
そんな事を考えながら俺は近くに安ホテルはないかとまわりを見渡していた。 しばらくの間のこっちに身を落ち着ける場所を探すまでの仮宿だ。
とりあえず空港から歩いて探して見ることにした。
やはり観光地だけにそれなりに多くある。
でも、予算に合うほどの値段のところはなかなか見つからなかった。グダグダと歩き回っているうちにいつの間にか夕方になってしまった。
荷物を持ち歩きながらだから足にも手にも疲れが溜まってもう限界らしい。
(仕方ない…今日は野宿でもして明日からまた探すか…)と考えながら公園らしいところで旅行バックの上に座っている俺。なんかむなしい…
…どれだけ時間が経ったのだろう……どこからか犬の鳴き声がする。
ウォン!ウォン!ウォン!ガブッ!!
「いっ痛てーーーーー!!」手を噛まれた。
「こ、こら!俊!噛んじゃ駄目でしょ!!すいません、すいません!」
どうやらこの犬の飼い主らしい人がペコペコ頭を下げて謝って来た。
「い、いや大丈夫です。それに元は俺がこんなところで寝てたのが悪いんですから…」
手をぷらぷら振りながら俺はそう答えた。
どうやら俺は歩き回った疲れからまた寝てたらしい…全く…一日何時間寝れば済むんだよ俺は…
「本当にすいません!この子ちょっと噛み癖があって…何かお詫びしないと…」アワアワと動揺しながらそういう姿はなんだかおもしろかった。あまりの痛さに気付かなかったがどうやら飼い主は女性らしい。
「いや、ホントに大丈夫ですから…」
「でも…あぁ!血がいっぱい出てます!手当てしないと…と、とにかく!私の家まで来て下さい!」
はい?い、いや、いきなり知らない女性の家に上がり込むのは世間一般の倫理的にダメでしょ…