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俺のラブストーリー
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俺のラブストーリー〜出会い〜-3

「本当に大丈夫ですから…思ったより傷は浅いみたいだし、舐めてほっとけば治りますから…」
俺はそう言って遠慮した。それに今はあんまり女性にいい思い出はない。
しかし……
「ダメですよ!傷はちゃんと手当てしないと後で痛い目を見ますよ!」
と言って俺の手を取ってグイグイ引っ張る。ちなみに噛まれた方を…
どうならこの人はかなり天然らしい…それに今は何を言っても無駄らしい…



数分後…
「はい!出来ました!」
ところ変わって彼女の家。傷を治療してようやく満足したらしい。
「あ!でも、一応お医者さんにも行ってください。もしも…って事があったら大変ですから」
「うん。そうする事にするよ」
ありがとうと俺は頭を下げて言った。
「いえいえ。元はと言えば悪いのはこっちですから。ところで…え〜っと…」
「渉(わたる)だよ。渡辺渉」と俺は軽く自己紹介をした。
「じゃあ渉さん。沖縄には観光ですか?」と聞いて来た。
「……いや、のっぴきならない事情でちょっと東京から逃げて来たんだ」
と自嘲気味に苦笑いをする。やはり正直に話せるような話ではないのである。

「そうなんですか…じゃあ住むところとかは決まってるんですか?」
どうやら雰囲気を察したのかあまりツッコミはせず、話題をかえてきた。天然だけど空気は多少読めるようだ…ありがたい…
「いや、まだだけど…」
そして、野宿をしようといういきさつを細々と話した。そうですか…じゃあ部屋が決まるまでここに居候するっていうのはどうですか?」
「はぇ?」
あまりの衝撃的発言に変な声が出てしまった。
この展開はおかしいでしょ!?会ってから一時間たってないでしょ!?
「そんなの関係ないですよ!なによりこれは俊がした事へのお詫びです!」
いつの間にか声に出していたらしい。
「いや…でも…やっぱり…こんなのは…」
「じゃあ外で野宿しますか?」ニコッと笑う。これはどこか脅迫に近いものがあるような…でも、当然野宿などしたくない。
「いや…でも…」まだ渋る俺。それはそうだ。お年頃の女性と一つ屋根の下にタダで住むというのはどうも俺の感覚ではよろしくない。「じゃあ、ここに家賃を払って住むのはどうですか?幸い部屋は余ってますし…それに今なら三食付けて三万円で!!」
何!?三食付きで三万円!?激安だ…破格だ…
「でも…そんな破格でいいんですか?」
「いいんです!お詫びだし、それにもとよりそんなにここはお金が必要じゃないんで」
そして、またニコッと笑う。屈託のない、純粋な笑顔だった。


結果から言えば俺はその条件に乗ってそこに住むことになった。
ラッキーだったのかどうなのかはわからないが俺はようやくこれで新しい俺の物語が始める事ができると思い、安心した。


でも、まだこの時の俺は知らない…
これがこのあと始まるラブストーリーの序章であることを…


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