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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 保健・競技 〜-3

 ……。


 スポーツ・体育は精神です。 文化です。 スポーツ選手は、従って単に競技で優秀な成績を残すだけではなく、文化を継承する存在でなくてはなりません。 各種競技における技術、技能を身につけた上で、それを表現する主体でもあります。 別に超一流のプロスポーツ選手だけでなく、草の根アマチュアだって立派なスポーツ選手です。 

 スポーツは生活の質を高めます。 スポーツを『する』ことで、運動不足による生活習慣病を予防し、チームワークを愉しみ、互いの共感を育みます。 スポーツを『みる』ことは大きな娯楽コンテンツになりました。 一緒に好きなチームを応援する一体感は、スポーツ以外では中々味わえません。 スポーツを『支える』ためにボランティアとして参加することは、自分たちのコミュニティに貢献できる恰好の場です。 社会第一線から遠ざかった人も、年齢や性別を超えて同じ目的に取り組むことができる点は、スポーツの掛け替えがない価値といえるでしょう――といった、幼年学校で教わった『スポーツ論』。 旧世紀に通用した内容も、現代社会では色褪せてしまいました。 私たちは徹底した管理社会に生きています。 私たちの未来にもスポーツは関わってきますが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を豊かにするというよりは、QOP(クオリティ・オブ・パーツ)を充たすためというのが実際の所です。

 幼年学校でのスポーツは、身体の基礎能力を確認するためのものですした。 メスとしての優秀さは身体能力にも表れますよね。 幼年学校生当時は知りませんでしたが、私たちは筋力や柔軟性、動体視力を事細かに評価され、基準を満たしたもののみが『学園』に入学する資格を得ていたのでした。 全国幼年学校連が主催した『総合体育大会』や、学校単位で実施した『運動会』、各種競技会は、特に優秀な牝を選抜するための試験紙という側面もあったようです。 こういった身体能力に優れている一方学力が足りない生徒には、『特待生』という道が用意されていました。 学園以外の場で、最初から身体能力を生かしたプロを目指す、という道だそうです。

 『学園』では、様々な要請に対応するために身体を鍛えます。 将来の職業、役割が決まるのはこれからなので、Cグループ生時代は汎用性がある『エネルギー的体力』と『サイバネティクス的体力』を両立させながらのトレーニングになります。 学園単位で行われる『体育祭』や、地区の学園が連合して行われる『対抗戦』、全国規模で優秀な牝を集めて行うの『学園総合体育会』といった大会が、身体能力発表の場として用意されています。

 社会にでてからのスポーツですが、最も華々しいのが『プロスポーツ』といえましょう。 幼年学校時代に人気があったサッカーリーグ、バレーリーグ、自転車競技、競泳等々。 各地の一流選手が集って行われるオリンピック競技。 ボクシング、空手、相撲といった格闘技。 
 学園で教わって初めて知ったことですが、選手はみな『Cランク』以上の女性だそうです。 スポーツの文化面を表すためにユニフォームを着た旧世紀スタイルで競技することもあれば、現代スタイルで女性の本性、つまり裸体を前面に出しながら競技することもあるそうです。 そうやってスポーツの先端を担うことは、職業として認められています。

 ほとんどの社会人に当てはまるスポーツは『メンテナンスポーツ』です。 管理システム上、私達の運動は制限され、身体は機能面で衰えざるをえません。 例えば『家畜役』を命じられた場合、四つん這いが基本となり、足腰の能力は衰えます。 こういった副次的作用を緩和、改善するために定期的なスポーツが実施されます。 トレーニング施設に数週間単位で職場から派遣され、厳しいトレーニングを受け、身体能力の回復が計られます。 そこで身体能力を閾値まで回復できた場合のみ、社会人生活の延長が認められるシステムなのですが、これを『メンテナンスポーツ』といいます。 仮に身体能力が著しく落ちてしまえば、現在の職業を維持することは出来ませんよね。 どうなるかというと、現在の『ランク』が1つ落され、新たな職業につくことになります。 そうなって嬉しいことなんて有り得ませんから、私達は必死で『メンテナンスポーツ』に取り組むことになるんです。

 Dランクにとって『メンテナンスポーツ』は特別な意味を持ちます。 Cランクまでは『ヒト』としての職業ですが、Dランク以下はそうではありません。 具体的にどんな待遇かというと――正直、あまり考えたくないのですが――家畜、家具、器具――といったところです。 そしてEランクになると、道具扱いだったのが『素材』と呼ばれるようになり、いつ処理されるか分からない状況が待っています。 だから、何としてもこれ以上落ちてはいけない試験という意味で、Dランクの『メンテナンスポーツ』は『ガバナンスポーツ』と呼ばれるそうです。 

 以上が現代社会におけるスポーツです。 あまり先のことを考えても仕方ありませんし、差し当たって私たちが取り組むものは、学園の『体育祭』ですね。 どんな競技があるかは2学期に教えて貰えるでしょう。 ……できれば、個人的には一切参加したくないんですが、そういうわけにもいきませんよね。

 幼年学校時代の体育は、思えば今とは全く違った意味をもっていました。 ボールを転がしては当たった、当たってないでキャッキャと騒ぎ、ヘタクソなシュートを打って入ったらハイタッチして、プールに入ればとりあえず鬼ごっこを始めて……あの頃の体育の時間って、本当に貴重だったんですね。 身体を動かすこと自体が楽しくて、何も考えずにはしゃいでいました。 通り過ぎた今になって懐しさが込みあげてきます。

 私達は全員がハッキリ知っています。
 もうあの頃には戻れません。


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