【白日の彼方に】-6
「ああっ!……ああんっ!あっ、やぁっ……」
官能的な匂いを放つ深いクレバスの奥底にまで舌を挿し込み、いやらしくヒクつくその一枚一枚を、丹念に拭うように舌の腹全体を使って舐め上げてやると、それは歓喜に震えるようにヒクヒクと波打った。
その動きに合わせ、愛花の奥底からは更に甘い蜜が溢れ出てくる。
音もなく、ねっとりとしたその流れに唇を押し付け、じゅるると音を立てて吸い上げてやると、愛花は「ああっ!」と切なげに鳴いて背中を大きく反り返えらせた。
俺の背を掴む、愛花の指に力が入る。
そんなに気持ちが良いのか、愛花。
思わず苦笑してしまう。
俺は、俺の指を更に奥へと誘うように蠕動する愛花の内側の感触が気持ちいいのに。
愛花の中は暖かく、でこぼことしていて、指を少し曲げて、ざわざわと押し寄せてくる濡れた肉壁を押し返すように強く擦り上げてやると、愛花は――、
「あっ、ああっ……お兄ちゃん。まっ、前、あっ……。お兄ちゃん、前の車、行っちゃったわよ」
……。
瞬間、何をしようとしていたのか忘れてしまったが、俺から逃れようと肩を押すようにして喘ぐ愛花の声に顔を上げると、確かに前の車との車間距離が開きすぎていた。
運転中なのを、すっかり忘れていたぜ。
口元を拭いながら、溜息を一つ吐く。
帰り道となる抜け道は未だ先だが、次に入れたら、どこでもいいから脇道に入るか。
じゃないと、
……。
こんな状況で、呑気に運転なんかしてられるかってんだ。
くそっ。
ハンドルを握ろうとして、指がドロドロに濡れている事に気付いた。
「綺麗にしろ」
愛花の前に、その指を差し出す。
「あっ……、おにぃちゃん……」
何をするのかすぐに分かったのだろう。愛花は荒く息を吐きながらも身を起こすと、何の迷いもなく俺の手を掴み、可愛らしい唇で吸い付くように、自らの愛液にまみれた俺の指を咥え込んだ。
「あっ……あふっ、あぁっ……んふっ……」
ねっとりとした唾液に溢れた口の中で、卑猥に蠢く暖かい舌が俺の指を絡め取る。その心地良い感触は、今まで侵入していた愛花の秘部の中と何ら変わりない。仄かに暖かく濡れていて、吸い付いてくる肉壁に、強い圧力を感じる。
両手で大事そうに俺の左手を抱え、まるで俺のモノを咥えているかのように顔を上下させる丹念な舌の動きに、俺のモノがビクリと反応した。
愛花……。
恍惚として俺の指をしゃぶる愛花は、実にいやらしい。頬を紅潮させ熱い吐息を漏らしながら、愛花は欲情しきった表情で一心不乱に俺の左手を舐めている。
何て、顔をしてやがるんだ、愛花。
そんな顔、俺以外の男にも見せているのか?
……。
それは、物凄く、腹が立つな。
「あっ……」
無性に言いようのないモヤモヤとしたモノを感じて、包み込まれていた愛花の手を振り払うと、指先に絡みついていた愛花の舌が、ちゅるっと音を立てて離れた。
不満げな声を上げる愛花は可愛いが、いつまでも指ばかりを舐めさせていられるか。
「愛花」
少し腰を突き出すように浅く腰掛け直す。
「お前、そんな顔して喘いでると、外から丸見えだぜ」
こんな渋滞中じゃ何の意味もないだろうシートベルトを外す。
自分が次に何をさせられるのか悟ったのだろう。愛花は恍惚と潤んだ目で俺の仕草を見詰めている。
濡れた唇をしやがって。
手を伸ばすと愛花の頬を掴み、引き寄せながら半ば開いたその唇にキスをしてやる。熱い吐息を吐く愛花の唇は、下の口と同じように既にたっぷりと潤っていて、軽く触れるダケのキスでさえ、ねっとりとした銀色の糸が俺の唇との間に渡った。