プ-6
「ああ、そうだね。スーツの佐藤さん別人だもんね!
初めて来た時、そのスウェットで、月曜日に部屋の前で待っていたら
カッコ良くて別人かと思っちゃった!スーツの威力ってすごいよね。
カッコよさ三割増しだよね!」
「・・・・」
「ねぇねぇ!生徒も騙されちゃったりしてる訳?
佐藤先生カッコいい!とか言われちゃってる訳?
生徒指導室に来い!先生こんなところに呼び出してなんですか?
とかやっちゃう訳?ねぇねぇ!」
「・・・・」
そう言ってなかなか笑いがおさまらない吉見を睨みつけ
「食べ終わったら帰るぞ。早く食べろ」
と、夕飯を急かした。
一昨日まで、ご飯を食べ終わった後、俺がお風呂に入っている間に
吉見はコマリを散歩に連れ出していた。
それを見つけて、遅い時間に一人で散歩に行くな。危ない。と
俺は吉見を叱りつけた。
ついつい、学校の生徒のような気持ちになったのかもしれない。
でも、こんな遅い時間は確かに危ない。
「じゃぁ、佐藤さんも一緒に行ってよ」
そう言われて、何も言い返す言葉もなく、
昨日、ご飯を食べ終わって吉見が台所をかたづけた後に
二人で吉見の寮まで歩いて15分の道のりをコマリと散歩した。
そのまま寮まで見送って、俺はコマリとゆっくりと帰って来た。
「ねぇ。私たちって端からみたら恋人みたいだよね?」
寮までの夜道でプッと笑いながらそんなことを言うから
勘弁してくれ・・・と
軽く頭をゴチンとぶった。
「いったっ!女の子に何するのよ!暴力教師!」
「吉見は俺の趣味じゃない」