〜 保健・実践 〜-1
〜 2番の保健 ・ 実践 〜
先日の『オケツ振りダンス』は、結局誰も合格できませんでした。 授業の終盤にそれぞれのダンスを教官が採点し、点数をお尻に油性マジックで書いてくれたのですが、最高が30番さんの『53点』で、最低が29番さんの『8点』でした。 私はといえば、そっとお尻を振りかえれば『50』という数字が殴り書きしてありました。 まあまあいい方ですよね、へへん。
ただ、教官の基準には達せなかったようで、8号教官は溜息をつき、
『ここまで物分りが悪いクラスなんじゃ、先へいっても卒業はおろか、進級すらままならないわ。 まずはケツ振りダンスで基礎を固めましょ。 幸い座学の時間には余裕があるしね』
とおっしゃいました。 ということで、続く体育の授業が『オケツ振りダンス』を題材に、動きの知識を学ぶ時間になりました。 こんな展開もあるんですね……。
……。
運動全般には『技術』と『技能』があります。 ケツ振りダンスでいえば、より肛門を見せるために尻たぶをクパッと広げる筋肉の使い方が『技術』で、実際に踊りながら恥ずかしい肛門を通じて腸内まで晒すことが『技能』になります。
安定した環境、つまり相手がいない状況で用いられる技術が『クローズドスキル』です。 ケツ振りダンスでいえば、誰も見ていないところで肛門をパクパクさせることが該当します。 一方、武道や球技のように相手がいて状況が変化する環境で用いられる技術を『オープンスキル』といいます。 ケツ振りダンスでいえば、観客の位置、数、趣向を意識して踊りに変化を加える技術が『オープンスキル』的だといえましょう。
まずクローズドスキルを鍛え、オープンスキルのレベルに引き上げます。 継続することで技術を技能に昇華できれば、あとは『見せ方』や『メリハリ』、『肉質』や『肌艶』でもってケツ振りダンスのレベルをあげることに繋がるそうです。
技能の上達過程は3つに分かれます。 『試行錯誤の段階』『意図的な調節の段階』『自動化の段階』というそうです。 試行錯誤の段階は、意識しても中々上手にできないときです。 ケツ振りダンスでたまにオケツの動きと肛門の動きが連動できたからといって、いつもそうとは限りません。 小さい揺れ幅なのに肛門を全開ししてしまえば無様ですし、大きく振っているのにパクパクが足りないと迫力がでません。 でも、たまに上手くいくことを繰り返せば、次の段階に進めます。 意図的な調節の段階は、意識しながらであればだいたい出来るようになったときです。 大分上達したので、オケツに集中してさえいればメリハリあるケツ振りダンスが出来ます。
練習では『フィードバック』が大切になります。 筋肉の収縮、骨格の動き、運動の情報は直接的、間接的に運動主体に戻ってきます。 上手くオケツを振ったつもりでも、上下運動の組み合わせがちぐはぐだったり、腰のグラインドがあからさま過ぎたりするものです。 自分の感覚即ち『内在的フィードバック』と他人のコメントや他人の動きを参考にする『外在的フィードバック』を活用すれば、技能の習熟に近づけるでしょう。
最後は自動化の段階で、身体がコツを覚えた状態です。 この域に達してしまえば、例え寝起きであろうと身体が最適化されたダンスを踊れるといいます。 すると、意識を自分の内面に向ける必要はなく、外部つまり観客に向けられるようになるため、状況に合わせた完璧なケツ振りダンスに近づくわけです。
一通り講義を受けてから、私達は偶数・奇数で2人組を組みました。 私のペアは1番さんです。 35番さんは教壇に昇り、8号教官とペアになりました。
まず1番さんが机に上がり、私に背中を向けます。 1番さんのお尻は小さい反面よく締まっていて、太腿に力が籠るたびに、隠れた肛門がチラチラ見えます。
「ミュージック、スタート〜」
教官の操作で教室のマイクごしに軽やかなメロディーが流れてきました。
「四拍子が基本よね。 スロウ、スロウ、クイック、クイックのテンポで、しっかりケツ孔広げるのよ。 レディ・ゴー」
「「はい!」」
顔のすぐ前でいきなり肛門が全開です。 1番さんは、まず腰を前後に振りました。 がに股と蹲踞の中間の高さに腰を据え、クイッ、クイッとお尻ごと振ります。 前につきだした時は尻たぶごと窄まり、後ろに突きだしたときは肛門がプパッと開くのです。
「黙ってみているだけじゃ意味ないからね? オケツがビシッと決まった瞬間に、ちゃんと尻たぶビンタいれてるの? 踊ってる側は自分がちゃんとでるか分からないんだから、見ている側ばしっかり教えてあげなさい! 上手な人ほどパシバシ叩く! 手形が残るくらい、強烈なビンタをプレゼントするっ」
「「はいっ!」」
慌てて私は手を振り上げました。 1番さんの動きは、ちょっとオーバーな気もしますが、お尻の穴が強調されているし、メリハリはあるし、私的にはすごく卑猥です。 手首にスナップを利かせ、
パァンッ!
敢えて遠慮せず、全力で平手をぶつけました。
「っ……!」
1番さんが呻きます。 一瞬私と目があいました。 教官に聞こえないよう、
「ありがと……っ」
小声で背中越しに呟くと、今度は左右の振り子運動がまじりました。