巴と若葉-11
それから私達は言った通り、巴ちゃんの家へ行き、彼女を迎えた。
「へぇー、あれが巴ちゃんのお姉さん何だ。」
「そーなのよ、驚いたでしょ。」
「べ、別に。顔真っ赤にしてビール缶を握っていらしたけど、ユニークな方ね。」
「アイツニートだもん、女の。」
「良いじゃない、色んな事が出来て。」
「ないないっ!たまに公園でボーとしてるんだもん。」
「今後の人生をじっくり考えてるんだ、素晴らしい生き方じゃない。」
「……何か、お姉ちゃんが哀れに見えて来た。」
「えっ?どうして…。」
「天然…。」
「?」
こんな清々し登校を再び出来て、本当に嬉しい。
「若葉…ちゃん。」
「!!風馬君。」
目の前に彼が現れた。私が彼女と一緒に居る所を見て口を開ける。
「私、もう貴方の言いなりにならないから。」
「どうして?」
「フンっ!どうもこーも寂しいなら大好きな人と一緒にいれば良いダケよ、いちいちバカ
みたいに、人の彼氏横取り何てしないで…、だぁーもぅー同じ事何回言えば言いわけ?」
大好きな人…、と口にした時、佐伯君の事だと勘違いされないよう私の肩に触れ。
「よくも私達をハメてくれたわね、この卑怯者!」
「ふ、フン!君に言われたくないね。」
「そこは、言い訳する気はないわ。」
私は、一歩胸を張るように前に出て。
「もう、私に付きまとわないで、いや私達に近寄らないで!」
「!!」
「行こうっ、巴ちゃん。」
「おうよっ!」
撃沈し、その場でボー然とする彼を置いて学校へ向かう。
「やるじゃねーか!まさかアンタにそんな度胸があるとは。」
「皆を巻き込みたくないもの、ゴメンね彼が。」
私達は前以上に関係が縮まった感じがした。
この日の天気は晴れ晴れとしていた、それは今の私の気持ちにとっても似ていた…。
「……ふぅーん、彼女冷めちゃったって訳。…良いよ、でもっ!僕は諦めない、このままで済ませない。若葉ちゃんを好きな気持ちは変わらないんだから。」
第15話に続く。