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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴と若葉-10

「じゃー、彼を返してくれるの?」
「うん、返品する。」

物扱い…。でも、それって。

「でも、それは。」
「だって考えてもご覧よっ!いくら寂しいからって、そんなのちょっと我慢すればいい事でしょ?」
「それは…。」
「それをどうして大切な親友の大事な彼氏を横取りしなきゃいけない訳?」
「だってそれは風馬君が。」
「確かにアイツは喰わない野郎だ、でも私が堂々と彼を責めれる筈がない。」
「それは、まぁ。」
「…確かに寂しいのは事実、まだ一週間も待たないとあの彼に会えないんだもの。」
「……。」
「でもっ!私頑張るわ!…どんなに寂しくったって…。後たったの一週間よっ!それで
またあの生ぬるいトーンで私の名前を呼んでくれるんだから。」
「巴…ちゃん。」
「弓道部を見ると胸が締め付けられる、いや時より無意識の内に彼を考えてしまう、駄目
だって分かっていても!」
「……。」
「でもっ!頑張る!どんなに寂しくたって、…だから…だからぁアンタはさぁ‥!」

胸が一杯一杯に溢れ、彼女を思いっきり抱き締めた。

「わ、若葉っ!?」
「…りじゃない。」
「え…。」
「巴ちゃんは一人じゃない!」
「若葉…。」
「もしかして明日は一人で登校するつもり?だったらそんな必要ないよ!…私が、何なら
巴ちゃんの家まで行くから!」
「っ……。」
「私の方こそ御免なさい、巴ちゃんが寂しいの分かってたのに、あんな酷い事言って。」
「何言ってんのよ!誰だって自分の大切な人を盗られたら許せないって。」
「確かに貴方は、一条君がいなくても平気って言ってくれた…、でもそれは私達を
気遣ってくれたからでしょ?」
「それは…、別に若葉は悪くないよっ!」
「でもっ!親友なら気付くべきだった…、なのにそれが出来ずあんな事になって…。」

顔が真っ赤で、目から滝のように涙が…、きっと私もそうだ。

「私、見ての通りバカで巴ちゃんの気持ちを知りながらちょっと恋人を盗まれたくらいで
貴女にあんな悪態つくような身勝手だけど…、こんな私を…友達でいてくれるかな?」
「……バカ。バカバカバカバカバカァッ!くっだらない質問すんなぁ!んなもんあったり
前でしょっ!」
「巴ちゃん!」
「若葉ぁ…。」

やっぱり巴ちゃんは巴ちゃんだった…。


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