〜 保健・性差 〜-2
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『思春期』
学園のCグループ生は、思春期の中盤に該当します。 男性、女性ともに生殖器はほぼ大人になりますが、女性は排卵が始まらない場合もあるなど、まだ未熟な面があります。 この理由は内分泌系や子宮の発達が十分でないためで、排卵、月経、生理の周期が安定するまでは精神の幼稚さが残ります。 学園の食事に含まれる性周期固定剤は、基礎体温を周期的に変化させ、月の周期を均一にする効果があるため、思春期の不安定さを緩和する作用があります。
薬物以外のアプローチで思春期を成熟させるためには、マスターベーションによる性液分泌促進や、乳房マッサージによるホルモン分泌促進、人前で全裸芸をすることで恥をかき、体温をあげるといった試みが有効です。
『セクシャル・ハラスメント』
相手を尊重する気持ちを忘れ、性を題材にした不用意な発言で相手を傷つけてしまうことを『セクシャル・ハラスメント』略して『セクハラ』といいます。 例えば男性から『生理中はアブノーマルだね』と、真実を告げられて反抗、或はセクハラのレッテルを貼って攻撃することは、立派な『(女性)の)セクハラ』です。 例えば男性に『男のくせに少しくらい多めに出してよ』と口にすることは、例え冗談のつもりでも言語道断なセクハラです。 例えば力仕事を1ミリでも男性に多く期待することは、例え口に出さず内心で思っただけだとしても、分不相応なセクハラです。
レディ・ファーストのような性質(たち)の悪いセクハラから、スカートやシュミーズのような視覚的セクハラまで、教官はあらゆるセクハラを列挙しました。 そう考えると、女性の行動はほぼ100%セクハラに該当するような気がして、本当に、旧世紀の女性は罪の塊だったんだなとシミジミします。 旧世紀に男性が女性を見限ってしまったのも、これだけ男性を蔑ろにし続けたのですから、無理ない話ですよね……。
『結婚』
旧世紀までは、主に男性1人と女性1人が互いを自分のパートナーにするという契約を履行してきたそうです。 今じゃ考えられませんが、私も幼年学校時代は漠然と結婚にあこがれていました。 一応男性は学園卒業、女性は幼年学校卒業時から結婚が認められていますが、ここ十数年の結婚数は年に50を切るといいます。 その数少ない例にしても、奇特な男性が女性を伴侶にするというわけじゃなく、愛玩動物=ペットとして契約を結ぶ数を含めての数字だそうで……つまり旧態依然の結婚となると、限りなくゼロということですね、はい。
……まあ、考えてみれば無理もありません。 そりゃあそうだろうな、とは思います。 だって、男性からしたら、女性をパートナーにするメリットなんてないんだろうなって。 衣、食、住は公共財だし、人工受精・人口子宮・人工保育の3点コンボで女性なしでも子孫はできるし。 頭脳も器用さも体力も何もかも、全部男性が優れているし。 温もりとか、思い遣りとか、そんなものは必要なさそうだし……改めて考えてみると、私達が男性に提供できるものって、現代では何もないんですよね……哀しいですけど。
『出産』
機器を経ない出産を『普通の出産』とするなら、普通の出産は陣痛が烈しくなり、子宮口が拡がり、陣痛に合わせて妊婦が腹圧をかけることで、産道を通って胎児が膣から押し出されます。 現代は十月十日でなくて、18か月を基準に子宮で育ててから出産になりますが、普通の出産と仕組み自体は変わりません。
一方で人工子宮の場合は、保育ポッドに人工子宮を写して外皮を取り去るだけです。 溶存酸素量が胎盤同様に調節されているため、外気マスクを新生児に装着するまでに人工羊水を飲んでしまっても肺にダメージは残りません。 男女比に注目すると、現代では新生児のうち90%が人工子宮産の女子、9%が天然子宮産の女子、1%〜0.001%が男子なんだそうです。
『コンドーム』
旧世紀に女性器からの男性器へ性病が感染することを防ぐために発達したゴム製品=コンドームは、やがて『内部包性肉質ゴム(Internal Wrapping Texture Rubber=IWTR)』の発明により、『女性器に直接擦るよりも心地良い刺激をもたらす道具』となりました。 その後、旧世紀末に最も普及したオナホール=TENGAが『IWTR』を取り入れることで、オナホールの評価が現実の女性器の評価を上回ってしまいます。 女性がもつ数少ない利用価値が、無機物に追い抜かれた歴史的な出来事ですね。 膣軽視、あるいは女性器の蔑視は拡大する一方で、現代にあっては、殿方は粘膜の摩擦に全く価値を見出してくれません。 きっと、膣本来の用途にスポットライトが当たる日は未来永劫こないんだろうな、と思います。