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代理父
【熟女/人妻 官能小説】

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代理父-10

11.
 二人目の子供は、男の子だった。
 一姫二太郎の理想の出来栄えとなった。
 田川夫妻は大喜びで、出産の知らせの挨拶に来た。


 「妻のお願いなんですが、子供が出来てだいぶ腰周りが太くなりました。ついては、小石川さんのご都合でいいのですが、太極拳の個人指導をお願いできませんかと・・・重ね重ねのお願いで恐縮ですが」
「それじゃ、今度のお子さんの育ち具合に合わせて、無理の無いように奥さんとご相談をしながら、やらせて頂きましょう」

 出産と同時に、美雪の関心は新しく生れた子供に移った。
 子育ての楽しさと忙しさで、吾郎との逢う瀬はしばらくお休み状態になった。

 一年が経ち誕生日を迎えて、美雪は二人の子供を連れた挨拶に来た。

「二人とも元気な子で、育てやすいのよ。やっぱり吾郎さんの子ね」
「うん、有難う。僕は産ませっぱなしで何も出来ないけれど、出来ることがあったら言ってください」
「前の約束を忘れたの?私はもうOKだから、太極拳のプライベートレッスン始めて頂けません」

 
 田川氏は昇進をして、今は本店の部長になり、ますます忙しいとの事。
 
「私のことなんか、全然眼中に無いんだから、・・・・」

 それではと言うことで、毎週一回、吾郎の部屋でレッスンをすることになった。

 もちろん、レッスンでかいた汗をシャワーで流し、ベッドに直行をする。

 こうして、田川夫人の一妻二夫の生活が始まった。

 日常生活は田川氏と、愛情生活は吾郎と。

 こうして何事もなく、月日は流れた。

 
 子供たちが大学生になった時に、田川夫妻は、子供たちに吾郎が生物学上の父親であることを知らせた。子供たちは少々驚いたようだが、特に反論ははなかったと言う。
 
 やがて娘も息子も夫々に伴侶を得て結婚、親元を離れた。結婚式には、吾郎も知人と言う事で式に参列した。

 吾郎は、65歳で退職をした。
 役所の配慮で、都内大手の警備保障会社の相談役、社外取締り役に天下りした。
 毎日出社する必要は無いが、週に2回、火曜日と木曜日の5時から1時間、社員に護身術の指導をすることにした。

 それまでに付き合いのあった女性たちは、吾郎の定年を待ちきれず、夫々に伴侶を得ていた。
 美雪の生理のある間は、安全日とピルの組み合わせで避妊に努めたが、やがて生理が上がると、避妊から解放された美雪はますます情熱を燃やした。

 吾郎を追いかけるように、田川氏も定年退職をした。
 奥秩父の古民家を安く手に入れ、晴耕雨読、山歩きと写真に明け暮れる生活を希望して、東京を離れた。美雪は、虫の入ってくるような家は嫌だと言って、東京に残った。
 65歳を過ぎても、吾郎の精力は衰えなかった。美雪の情熱に呼応をするように、二人の性生活は週二回に増えた。
 週一回の太極拳の個人レッスンの他に、郊外のドライブインやラブホテル、時には車の中で愛し合うこともあった。

 田舎に引っ越した田川氏が亡くなった。
 ヘビースモーカーだった田川氏が、風邪をこじらせて入院をした。精密検査をした結果、肺がんが見つかった。手術をしようと検査を続けているうちに、肺炎を併発し、あっけなくこの世を去ってしまった。



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