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シャワーを浴び終わった亜里沙は、上下の下着と、白のカッターシャツだけをを着せられ、首に鎖付きの首輪をはめられて、Bに鎖を引っ張られてトボトボ後をついて歩く。
亜里沙が無理やり犯された場所、彼らが“拷問部屋”と呼ぶ部屋からまた別の鉄製の扉を一つくぐると、打ちっ放しのコンクリートむき出しの幅は一人分の廊下が伸びており、その十メートルほど奥の突き当りに、また鉄でできた扉があった。どうやら部屋があるらしい。亜里沙は直感した。これが自分の部屋なのだと。
予想通り、扉の向こうには病院にあるような簡素なベッドと、むき出しの洋便器、小さな蛇口が備え付けられただけの、白い壁の四畳半部屋があった。
「ここがお前の部屋だ。それと今日の飯だ」
そう言いながらBは、部屋に入った亜里沙に小箱を2つ手渡した。それは、スーパーや薬局に売っている栄養調整食品の小箱だった。2つともチョコレート味と茶色い字で書かれたそれが、亜里沙の食事だった。
「夜と朝、1箱づつな。あと、水分だ」
続けて2リットル入りのミネラルウォーターが手渡される。先ほどの栄養調整食品を作っている会社の同じ製品だった。
「じゃ、また。明日は俺が可愛がってやるからな」
最後に亜里沙の首の鎖をベッドの端の留め具に引っ掛けてから、Bは手を振って扉を閉め、外から鍵を閉めた。中からはもちろん開けられない構造で、ドアノブもなく、まるで鉄板のようだった。
次第に遠ざかってゆく足音が消えると、亜里沙は手の食料と水を投げ出してベッドに飛び込んだ。
「うわああああああっ、うわあああああああああん」
涙が次から次へとあふれ出して、シーツを濡らした。なぜこんなことになってしまったのだろう? 私が何をしたというのか。なぜこのような仕打ちを受けなくてはならないのか。
突然襲い掛かった理不尽を責める亜里沙の泣き声は、深夜までとめどなく続いた。