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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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幼馴染の陰謀-5

突然声を掛けて来たのは他でもない佐伯君その人だ。

そういや、ここの洋服セールがやっていていつか行きたいって彼女言ってたな、例の事件
が起きる前に。

本当なら私と行く筈だったのに、付き添いは私ではなく彼。

「…どういう事かな?僕が仕組んだって。」
「……。」

第二ラウンド突入か?

「とぼけんな、巴を呼び出したのだってお前だろ。」
「えっ?」
「可笑しな話だと思ったのよ、公園で妙に話が噛み合わないし。」
「……。」
「ちょ、ちょっと待って!どういう事?…だってあれは二人が好意を持って。」
「そうよ、その後偶然アンタ達がやってきて。」
「だからそれはたまたま……っ!」

頭に稲妻が横切る…。そういやあの日も風馬君がやけに強引に一緒に帰りたがって、ワザワザ別ルートで行って。

「風馬…君。」
「………。」

顔が強張る彼。

「この子から聞いたんでしょ?私の彼が今は遠くに行ってて、そして尚且つ私とコレが
昔付き合ってた事を。」
「………。」

え、だって彼の家にお邪魔した時に…まさかそれも…。

「そこで思いついたんでしょ?「もしこの二人がよりを戻せば」って…。」
「…お前の思惑通り俺らはこんな事になってしまい、柊さんとロクに会話も出来ないようになり。」
「後は、弱ってるこの子にアンタが優しく声を掛けて、願わくば振り向いて欲しいと。」

そんな、風馬君が…、でも、最近の彼を見ていれば驚く事でもない。

「とんだ確信犯ね。」
「そんな!巴ちゃん。」
「若葉も若葉よっ!だから気を付けろって言ったのにっ!」
「っ!」

人気の無い通路で、重たい空気。

「何だ?黙り込んで…図星何だろ?」
「………。」
「風馬、君。」

二人の問い詰めにようやく重たい口を開く。

「そうだよ…、君らの言う通りさ。」
「!そんなっ。」
「てめぇ、よくもっ!」

頭に血が昇った佐伯君が風馬君の胸倉を掴もうとする、しかし。

「でも、人の事言える訳?」
「は?」
「確かに僕は君らをハメたさ‥、でもっ!まさか本当にこうなるとは思ってなかった。」
「……。」
「願わくば、くっつけばいいかな‥って、二人が元恋人だって事は偶然耳にしてさ。」
「風馬…君。」
「僕は君らからしたら自分の目的の為に君らの友情を引き裂いた卑怯者。けどさ僕一人が
悪いって胸張って言える訳?」
「そ、それは。」

確かに、彼はそうなる危険性を振りまいただけ、それ自体とっても褒められる行為ではないけど。

「あの時…、私があたるにキスをしたのは紛れもない私自身の行動。」
「巴ちゃん!」
「さっ!もう良いでしょう?行こっ!若葉ちゃん。」
「……あっ。」

半ば強引に腕を掴まれ、その場から去る私と風馬君。

この時風馬君は何を考えていたのだろう、中学で離ればなれになってから彼は私の事を
どう思い続けていたのだろうか…。

ただ一つ分かったのは、これでもう巴ちゃんと佐伯君と前の関係に戻るのは不可能だと
言う事が、身を持って痛感した。

第14話に続く。


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