カノン-11
「……花音ちゃん」
「ん……」
「大好き」
「うん……」
「俺のこと、好きになってもらえるように俺がんばるから。花音ちゃんのこと、たいせつにする。だから……」
「うん……?」
「アドレスとかおしえて」
わたしは小さく目を見開くと、思わずくすくすと笑いだしてしまった。
制服を着たまま、そして繋がったままの状態で。
「笑いごとじゃないよ、俺まだおしえてもらってないんだよ。モーニングラブコールできないじゃん」
いつも通りのお調子者の顔。
さっきまでの強引な雄のカオはどこへやら。
わたしはそのギャップがおかしくて、くすくす笑いをとめることができなかった。
失いかけた自信を何倍にも大きくして取り戻してくれた潤。
わたし、きっとこのひとをすごく好きになる。
失恋したことなんか、忘れてしまうくらいに──。
《了》