真相-7
葵は子ども心に、父さんがあの日母さんに頼み事をしなかったら、
母さんは死なずに済んだのに!母の死を実感するにつれて
葵はそんな風に考えるようになった。
父さんのせいで、母さんは死んだ。
と、誰かのせいにすることで葵は必死に自分の心を保っていた。
彼が父の事を決定的に嫌いになったのは、14歳の頃。
葵の父は子持ちの女と再婚した。
その頃すでに親子の仲は冷め切っていて、葵の父は彼に相談もせずに再婚を決めた。
一言、新しい家族だ。としか言わなかった。
葵は望みもしないのに、4歳年下の血のつながらない弟ができた。
新しい母親は、葵を実の息子と変わらずに接してきた。たぶんいい人なんだとは思う。
でも自分の母親は母さんだけだと決め、葵は新しい母親の存在を認めなかった。