不安-1
奈々子は家に帰っても、疲れているはずなのに眠れなかった。
豹介の言った言葉が蘇る。
(葵君がゆかりを好きなことは間違いないって・・・ ?
親友が言うんだから、そうなんだろうか?)
葵を疑う気持ちが徐々に強くなって、奈々子の心に余裕が無くなる。
ゆかりに嫉妬してる自分がいる。
こんなことは初めてだった。
昼過ぎ、スマートフォンにメッセージが届く音がした。
ゆかりからだった。
“豹介から聞いたよ。
奈々ちゃん家まで送ってくれたんだってね。
ありがとうって言っておいてって言われた。
私からも、ありがとね。”
奈々子はすぐに返信する。
“ちょうど車だったから大丈夫だよ。
それより、ちょっと聞きたいんだけど・・・
ゆかりってどうして豹介君と付き合うことになったの?”
ゆかりからの返事もすぐに来た。
“恋バナ?!照れるじゃん。メールじゃなんだから、後で家に行くね。”
ゆかりはその日の夜、いつものように奈々子の家へとやって来た。