慰めあう女-6
「はあぁ…はぁ…はぁ…」
「ふうぅ〜…。ふぅ〜…」
息を荒くして抱きあう二人。どちらからともなく唇を重ねると、そのまま絡み合った。
ちゅっ。ちゅっ。
熱っぽく唇を吸い合う。
お京は椿の口中に舌を差し入れ、歯茎を舐め回しながら唾液を流し込む。
口腔愛撫に熱烈に応える椿。ねっとりと舌を絡ませ、唾液を美味しそうに飲み干す。
「ぷはあぁぁ…」
お京が唇を離すと、二人の間で濡れ光る唾液が糸を引いて垂れ落ちた。
「ふふ…。お嬢さん、如何ですか?」
「女同士が…こんなに…気持ちいいなんて…」
「こういう遊びを廓では『ト一ハ一』(といちはいち)と呼ぶんです」
お京は豊かな乳房を椿の胸に押しつけて動かし始めた。
ぐにゅっ…と押しつぶされた柔らかい四つの肉塊が擦れ合う。
たちまち乳首は硬くしこってさらなる快感を呼ぶ。
「ほら…。おっぱいの先っぽが擦れて…たまらないでござんしょう?」
「ああ…っ!! お京! お京っ!」
「お嬢さん…!」
「嫌ッ! 椿と呼んでっ!」
「椿っ! 椿っ! …んむうっ」
再び唇を吸い合って激しくもつれあう二人。
そのままいつしか体勢を変え、横倒しになってお互いの股間に顔を埋めた。
江戸時代で言うところの『相舐め』、つまりは『69』である。
二人は獣のようにべちゃべちゃと淫らな音を立て、お互いの性器を舐め始める。
「はぁ…はぁ…。べちょっ、べちょっ。れろ、れろ、れろ…」
「んんん…っ。くちゅ、くちゅ。じゅるじゅるじゅる…っ」
「ああん…っ。お京のまんこおいひい…。おいひいのぉ…」
「椿のもぉ…。とっても…おいひぃ。んちゅうううううう…」
お京は両手で椿の尻たぶを鷲掴みにして思いっきり左右に広げ、その中心の淫花にむしゃぶりついた。
「あああああああんっっっ!!!」
悶えながらも負けじとしゃぶり続ける椿。
何もかも解き放ち、二匹の淫らな牝になって堕ちてゆく。
酷い虐待でめちゃめちゃにされたお互いの性器を、辛い過去を、愛情のこもった舌で慈しみ慰めあうのだ。
もう何もいらない。お互いの御満子さえあればいい。
今この瞬間だけ、二人は恋に落ちていた。
こうして一線を越えたお京と椿。
それ以来、二人は頻繁にいけない遊びを楽しむようになった。
夜半に皆が寝静まると椿はお京の布団に潜り込み、甘えて相舐めをねだる。
遊びに熱が入りすぎて潮吹きやおもらしで布団を濡らすことが多くなったが、二人は了順に対して全て怪我の治りが悪いせいと言って開き直ることにした。
とりあえず、暗く沈んでいた椿に明るい笑顔が戻ったのは良いことだった。
お京にしてみれば大切なお嬢さんの心の傷を癒したい…という気持ちから出た行為であり、一時の遊びのつもりだったのだが、椿は本気だった。
昼間からお京に寄り添い、厠の中にまでついていく始末だ。
「お嬢さん…何もこんなところまでついて来なくても…」
「いいの。私、どうしても見たいんだもの」
「でも、汚いですよ?」
「ううん。お京のなら汚くなんかないわ」
熱い目で見つめながら甘えてくる椿には勝てない。
「お嬢さん、いいですか。ようく見てて下さいまし…」
お京はふんどしをずらしてしゃがみ込むと、
ぷしゃああああ〜…っ!! と、勢いよく放尿した。
かがみ込んでその様子を食い入るように見つめる椿。
お京がちり紙をとって汚れを拭き取ろうとすると、椿はその手を掴む。
「だめっ。私が綺麗にしてあげるんだから…」
椿はそのままお京を押し倒すと、狭い厠の中で折り重なった。
ちゅるっ! じゅるじゅるじゅる…っ。
椿の愛情がこもった舌先が、お京の肉びらや穴ぼこをねぶり回す。
「お京のあそこ…。おひっこの味がするぅ…。しょっぱくて、美味しいのぉ…」
「嫌ッ! お嬢さん、こ、こんなところで…っ。あふううう…っ!」
そう言いつつも、お京の両手はしっかりと椿の頭を抱えて快楽にむせび泣く。
女同士の遊びだった筈が既に抜き差しならないところまできてしまっているのだ。
その甘くるしい雰囲気は、傍らで見ていられないほどである。
大二郎が見舞いに来ても知らぬふり、豆岩が見舞いに来ると嫉妬心を露わにして不機嫌になる。
最近ではお京もいささか困り果てていた。
そんなある日。
午後の診察後、水を張った桶で手を洗いながら了順が言った。
「お京。最近は傷の経過も大分に良いようじゃ。そろそろ家に帰ってもよいぞ」
「本当でございますか?」
寝間着の裾を整えながら、お京が顔をほころばせる。
一方、椿は顔が曇った。
「ああ、本当じゃ。一時はどうなることかと思うたが、もう大丈夫じゃろう。ただし、不潔にしてはいかんぞ? 大怪我をしたんじゃからな。隠しどころを風呂で毎日よく洗うのじゃぞ」
「ええ、それは十分にわかっております」
「明日にでも使いを出して、豆岩を迎えにこさせよう。お前も今のうちに荷物をまとめておくのじゃぞ」
「はい!」
「…………」
了順が座敷を離れると、お京は行李を出して衣類を片付け始めた。
椿はその背を見つめ、ずっと思いつめた顔をしている。
「お京…。連れて行って。私もお京の家に置いて欲しいの!」
「…あたしもお嬢さんと離れるのは淋しいですよ。でもあたしの家は六畳二間。折角来ていただいても、お嬢さんの居間さえありゃしません」
「嫌ッ! 私、お京と一緒にいたい! 私のことが嫌いになったの?」
椿はお京の背中にひしと抱きついた。
お京は着物をたたむ手を止めて、椿にそっと唇を重ねる。
「嫌いになんかなりゃしませんよ。お嬢さんの柔らかい唇…。ふくよかな胸乳…。そして…お汁で一杯のおまんこ。忘れようったて忘れられるもんじゃございません。でも…でもね、いつまでも女同士でこんなこと続けてちゃいけません」