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珍客商売〜堕ちた女武芸者〜
【歴史物 官能小説】

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捕らわれたお京-6

 …ずるっ!!
「わああああああっっっ!!!」
 大きくよろけた身体は土手から転がり、そのまま下の田んぼへと落ちてゆく。
 がつんっ!
 目の前で大きな花火が飛び散った。
 畦から飛び出した石にしたたかに頭をぶつけた豆岩はそのまま失神してしまった。

 それから二刻。
 夜半になりようやく雨は止んだが、お京は未だに草むらに潜んでいた。
 …ぶるぶるっ。
 お京の身体が小刻みに震える。
 無理もない。小雨の降りしきる草むらに潜んで風呂敷一枚を被っているだけなのだ。
 飲み屋であおった安酒の火照りも既に消え、その身体は冷え切っていた。
 やがて尿意を催した彼女は、その場にしゃがみ込んだままふんどしを解いた。

 ぷしゃああああ〜〜〜…っ。
 割れ目から勢いよく迸る尿(いばり)。
 しかし大きく肥大した肉ビラにその軌跡を阻まれた液体は遠くへ飛ぶこともかなわず、その場にびちゃびちゃと滴り落ちてゆく。
「はあああぁぁぁ…」
 足元に大きな水溜りを作り、もわあっとした湯気が立ち上る中、お京はぶるぶるっと再び大きく身体を震わせた。
 懐紙を取り出して何度かアソコを拭うと、ごそごそとふんどしを締め直す。
(豆岩の馬鹿野郎っ! 一体何処で油売ってやがるんだいっ!!)
 夜も更けたというのに、豆岩が帰ってくる気配は一向にない。
 今も苦しむ椿のこと、そして父である沼田義興や椿に恋焦がれる大二郎の辛さを思うとお京の胸はきりきりと痛んだ。
「ちきしょうっ! もう待てない!!」
 お京は立ち上がると、たすき掛けをして着物の裾を捲り上げ、帯の後ろに挟んで止めた。
 いわゆる『尻っ端折り』(しりっぱしょり)というやつである。男が走る時によくやる格好だ。
 お京がこれをやると粋な豆絞り柄のふんどしが食い込む尻が丸見えになり、なんとも色っぽい。
 そして懐から取り出した鈎縄を投げると、露わにした尻をぷりぷりと揺らしながら塀をよじ登り始めた。
 もし往来でこの姿を男たちが見ていたらとんだ眼福、その艶姿にさんざん冷やかしを受けただろう。
 しかし今はそんなことを気にしている余裕などはない。
(お嬢さん! 待ってておくんなさい! 今、あたしが助けに行きますから!)
 椿のためにあえて死地に赴くお京のその胸は、早鐘のように鳴っていた。

 一方、屋敷を抜け出して酒を買いにいった浪人二人は玄斎に問い詰められていた。
 屋敷の金蔵に忍び込もうとしていたところを見咎められたのである。
「…おい、お前たち。普段から遊び金は十分にやっておるだろう。まだ足りんのか? それにわしが暫く目を離していた隙に何処へ行っていた?!」
 弦斎の鋭い目つきで睨まれると、二人はしどろもどろに言い訳を始めた。
「いや、弦斎殿。我らは決して御身を裏切ろうなどというつもりは…」
 語るに落ちる、とは正にこのことだ。
「さ、酒が切れたので、ちょいと品川の盛り場まで買いに行っておっただけにございまする!」
「ほう、そうか…。仲間の隠密がうろついておるかもしれんから、迂闊に出歩くなとあれほど言うておいたであろうが! この馬鹿者めっ!!」
 ばしっ!!
 弦斎の平手が飛び、浪人は吹っ飛んだ。
「し、しかし弦斎殿…。我らはそんなつもりでは…」
「…………むっ!!」
 気弱に言い返す浪人を無視して、弦斎は立てかけてあった手槍を取ると襖に投げつけた。
「きえ――――ッッッ!!!」
(しまった!!)
 ズボッ!!
 襖を突き破った手槍はお京の足元に突き刺さる。
 お京はもはやこれまでと襖の陰から飛び出して脱兎のごとく逃げ出した。
 広大な屋敷の中を探索中、ようやく浪人たちの居間を見つけ、椿が閉じ込められている場所を探っていたのだ。
「お前らが迂闊なことをしてくれたおかげで、とんだネズミが釣れたわい!!」
「曲者じゃ〜っ!! 曲者が忍び込んだぞ〜っ!!」
 弦斎の怒声で、地下蔵で椿を犯していた重右衛門ともう一人の浪人も飛び出してきた。
 行く手を塞がれたお京はたちまち捕まってしまう。
「離せっ!! 離しやがれっ!!」
「ほほう! こやつも女ではないか! 我らはついておるぞ!」
「女剣客の身体に飽きてきたところで、今度は新顔がやって来るとはのう!!」
「これこそ、鴨が葱を背負ってくる、というやつではないか?」
「まったくその通りじゃ! わっはっはっは!!」
 お京の身体をまさぐりながら、浪人たちの下卑た笑いがこだました。
「こやつ、岡っ引きのようです。こんなものを持っておりましたぞ!」
 重右衛門はお京の懐から奪い取った十手を見せる。
 弦斎が顔を掴んで持ち上げると、お京は鋭い目つきで睨み返した。
 ぺっ!
 お京は弦斎の顔に唾を吐きかけた。
 その唾をまともに受けた玄斎は、無表情のまま懐から出した手ぬぐいで顔を拭う。
「…なかなかに気の強い女じゃ。暴れられないように少し痛めつけてから料理してやるとしようかの」
 どすっ!!
 弦斎の拳が腹にめり込んだ。
「か…は…っ!!」
 呼吸が出来なくなったお京はその場にへなへなと崩れ落ちる。
「おらあっ! 立てよっ!!」
 他の浪人が髪を掴み上げて無理やり立たせると、弦斎の拳が再び見舞った。
 どすっ!!
 次の標的は晒しが巻かれた乳房である。お京の胸に激痛が走った。
「ぎゃあああああっっ!!!」
 どごっ!!
 間髪入れずに弦斎の膝頭が今度は股間へめり込んだ。
「おごおおおおおおおっ!!」
 恥骨に走る鋭い衝撃は、脳天まで突き抜けた。
 お京は両手で股間を押さえながら、がっくりと倒れ伏した。
「ひぃ〜…。ひぃ〜……」
 鍛えようもない鳩尾、乳房、股間への連続打撃。
 激痛に悶え苦しむお京は完全に戦意を喪失していた。
 ちろちろちろ…。
 割れ目からは尿が漏れ出した。


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