監視-8
ガチャリ。と屋敷の玄関が開いたのは、次の日の夕刻だった。
日曜日の夕暮れ、一馬は変わらず書類にサインをしたり仕事を続け、絵茉は次の日の学校の準備をしていた時だった。
秀慈は何かを決心したように、一馬の書斎を訪ねて来た。父の姿を見つけた秀慈は彼を呼んだ。
「父さん。」
「秀慈、連絡もよこさないで外泊するなんて、けしからんな。」
「すみません、父さん。友達の家に泊まらせてもらいました。僕は考える時間が欲しかったんです。」
「考える時間?それで、お前は何を決めたと言うのだ?」
「僕は父さんの言う通り、これからも勉学に励んで雨宮グループの支えになりたいと思います。」
「そうか、秀慈。さすがは父さんの息子だ。これからも頑張りなさい。」
「はい、では僕は部屋に戻ります。」
秀慈は絵茉の方は一切見ずに、二階の部屋へ戻って行くと一馬はボソッと呟いた。
「秀慈もできた子だ。」