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呪縛の檻
【その他 官能小説】

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謎の男-1

 秀慈は途方に暮れていた。

絵茉に必ず助けてあげるから。と言っておきながら、どうやって自分の父から解放させてあげられるのか方法が思いつかないのだ。
警察に自分の父は養い子を凌辱し続けていると言っても、信じてくれないだろう。証拠が必要だ。それには絵茉の協力も必要だ。
あの地下室に隠しカメラを置いて二人の行為を撮影すれば何とかなるかもしれない。

でもそれだけでは、あの雨宮一馬と言う男を追い詰めるには足りない。きっと警察にも裏で繋がっているに違いないのだから、何か他に決定的なものを探さなくては・・・。

 そう頭の片隅で考えながら秀慈は授業を終え、自宅に帰ろうと準備を始めると教室のドアの外に人が群がり始めた。秀慈はこの学校の生徒に慕われていた。彼と下校したがる女子生徒は山ほどいる。彼はこの学校の生徒会長も務めていて、彼目当てで生徒会に入ろうとする者さえいた。
いつも彼の周りには人が集まった。それは雨宮グループの社長の息子という肩書がなくても、きっと彼は皆の中心になるであろう、人を引き付ける何かを持っていた。

 しかし全てを持っている彼にも悩みはあった。

この学校の女子生徒、他校の女子からも何度となく告白されても、秀慈は誰とも特別な関係になったことがない。女の子に興味がないわけではなく彼女らに触れたいし、もっと先の事もしてみたい。そう思っていた。しかしいざ、誰かと付き合おうと思うと何か違う・・・と感じてしまい、一歩が踏み出せないでいたのだ。

 そんな思いに終止符を打ったのが、彼の父一馬と絵茉の淫らな光景を目のあたりにした時だった。一瞬で彼の全てを打ちのめされた。完璧だと思っていた父がまさかあんなことを・・・。それと同時に絵茉の妖艶な姿が彼の目に焼き付いて離れないでいた。
自分より年下とは思えない程の色気が秀慈を狂わせる。今まで可愛いと思っていた妹のような存在の絵茉が一人の女性として、秀慈の心を支配する。

心を閉ざしてしまった絵茉を笑顔にする方法、それは自分の父親から彼女を守ること。必ず絵茉を助け出して見せる。秀慈は絵茉の秘密を知ってしまったと同時に、自分が彼女を一人の女性として愛していることに気がついた。


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