動き始める運命-8
結局絵茉が解放されたのは朝方の4時だった。
しかし部屋に戻っても絵茉は眠れるはずもなく、ベッドに寝ころんだまま起床時間を迎えてしまった。冴えない顔色のまま食卓へ向かうが、食欲があるはずもなく牛乳だけを飲み、彼女はいつものように学校へ向かった。
車の中では隣にいる秀慈が心配そうに絵茉を見つめた。
「大丈夫?顔色よくないようだけど・・・?」
「ええ、眠れなくて・・・。」
「もしかして昨日の夜、何かあった?」
秀慈にそう言われて絵茉はドキリとした。秀慈に何か感づかれてしまったのだろうか?と。
車内に沈黙が流れる。しかし次に口を開いた秀慈から出た言葉は絵茉が思い描いていたものとは違った。
「もしかして昨日、僕が頼んだ事・・・やっぱり迷惑だった―――とか?」
絵茉はホッと胸を撫で下ろす。
「いいえ違います。そうではありません。」
「なんだ、そうか。それならよかった。」
秀慈はにっこりと絵茉に微笑んだが、彼女はそのまま俯いてしまった。