動き始める運命-7
いつもなら一馬が果てると絵茉は彼から解放されるが、この日はなかなか一馬は絵茉を部屋に帰さなかった。すでに時刻は深夜2時を回っていた。一馬は絵茉をベッドで抱きしめたまま離さなかった。あと4時間で起きて学校へ行く支度をしなくてはならない絵茉は、気が気ではなかった。一馬の妻も起きてしまうし、秀慈にも気がつかれてしまうかもしれない。
不安が募る絵茉に一馬はいつもの様に言った。
「ピルは飲んでいるか?」
「はい。」
「そうか、いい子だな絵茉は。私のいう事をきちんと聞いている。これからも私のいう事だけを聞くんだぞ、いいな?」
「はい。」
絵茉がそう答えると、一馬は彼女の甘い唇にそっと口づけをしながら、何度も彼女の艶のある黒髪を撫でた。