花言葉U-1
(禁忌…… 背徳…… )
部屋に戻った恵利子の脳裏に浮かぶ言葉。
指先、そして身体にもまだ、叔父から発せられた熱が残っていた。
ラブホテルのゲートを潜る時、叔父が無理矢理に車を入れた訳ではなかった。
それがまるで当然のように導かれ、気が付くと部屋の中へと入っていた。
『…… 恵利ちゃん ……』
背後より抱きしめられ、それが現実であることを認識させられる。
制服の生地越しであっても、押し付けられた陰茎の熱を感じ取ってしまう。
同時に身体の中心に痛痒さに似た疼きを覚えはじめていた。
人目に付き難い場所と思われても、決して絶対と言うわけではない。
《誰かに視られてしまうかもしれない…… !?》
不安とも恐れともとれぬ心情が、不思議なまでに恵理子を熱くさせていた。
濃紺のスカート、押し拡げられた両脚付け根には、叔父の指が潜り込む。
飾り気の無い下着は既に右脚を抜かれ、申し訳程度に左足首に残されていた。
決して粗野な扱い、乱暴にされたわけではなかった。
どちらかと言えば、それとは真逆の扱い。
下着越し焦らされるようにいじられ、身体の火照りを感じると、下着に掛けられた指を拒むことが出来なかった。
無様なまでに両脚を押し拡げられ、それどころか貫かれた傷痕残る中心に微熱が籠り始める。
(ダメ、嫌、自分がっ、まるで自分が、自分ではなくなっていく)
叔父の指、伸びる舌先を払い退け、この場から今すぐ逃げ出したいはずなのに、それが出来ない。
挿入された指先を拒むどころか、より深く誘うよう尻を浮かせ咥え込んでしまう。
ゆっくり抜き挿しを繰り返す度、指先腹が内壁を擦りあげ刺激してくる。
まるでこちらの意図を察するかのような指使い。
《くちゅっ くちゅっ くちゅくちゅ》
狭い車内、耳を覆いたくなる隠微な音が反芻され、それが自分の身体から発せられていることを思い知らされる。
淫靡に蠢く指先はこちらの心中を見透かし、はぐらかすように責立てるだけで、けして欲するものを与えてくれない。
両膝を擦り合せながら、腰を浮かせていた。
『○しくなってきたんだろ、えりちゃん? さあ、○しいって、言ってごらん?』
荒い呼吸を繰り返している時、何度も叔父が問い掛けてくる。
自分を乗せた車が、再び動きはじめた覚えはある。
叔父の問い掛けに…… 叔父の問い掛けに、首を縦に振った記憶もある。
何度も、何度も繰り返していた。
街並みが流れながら、一際強い明かりが灯る一角へと車が向かう。
ぼんやりする意識の中、視線を運転席に向けるも、とりたてて言葉のやり取りは無かった。
焦燥感に似た身体の火照りから、気持ちが落ち着かず視線が泳いでしまう。
自然とシートに身をあずけ、灯る明かりに目を向けていた。
ラブホテルのゲートを潜る時、叔父が無理矢理に車を入れた訳ではなかった。
それがまるで当然のように導かれ、気が付くと部屋の中へと入っていた。
『さあ、恵利ちゃん、怖がらなくて良いんだよ』
背後より抱きしめられ、それが現実であることを認識させられる。
制服の生地越しであっても、押し付けられた陰茎の熱を感じ取ってしまう。
抱きしめられたままベットへと押し倒されると、再び両脚が押し拡げられ叔父の舌先が伸びてくる。
瞬間、車中で脱がされた下着が、そのまま残されている事が思い起こされる。
(ぁぁっ…… )
舌先が分け入り、挿し込まれ潜り込んでくる。
生殺しのよう、一度は鎮まりかけた感情が、堰を切って流れ込んでいる。
(ああっ…… この感触、はじめて知った時…… からっ…… )
当初は拒絶、嫌悪、憎悪っ、っでしかなかった感情、感触。
(きもちっ…… わ る いっ )
そう思い続けた感情が、繰り返し、繰り返される事で麻痺していく。
麻痺して、馴れ、馴れはじめ、馴れてしまう。
馴れは恵理子の中に不可思議な感覚、徐々にではあるが不思議な感触を芽生えさせる。
いつしか芽生えは、目覚めへと移り変わっていく。
無慈悲に手折られ傷痕残る莟に、情念宿る舌先が重ね合わされ注ぎ込まれる。
(ぁぁっ…… 嬉しい? 悦び? わたし、悦んでいるの? )
恵利子は自身に問い掛けてみる。
叔父との事は、誰にも知られてはいけない。
お父さんにも、お母さんにも、知られてはいけない。
だから、だから、知られてはいけないから我慢している、我慢していた。
そう自身に言い聞かせていた。
でも、いつの頃からか!?
もしも今の自分を知られてしまったら?
仰向けに押し倒されたベットの上、恵利子の視線は天井の灯りへと彷徨う。
「 …… っ恥ずかしい…… で す 」
今にもどうにかなってしまいそうな心情、発せられた言葉は拒絶でも嫌悪でもなかった。
それでも大きく拡げられた両脚付け根に顔を寄せ、尋常ならざる情念を持って舌先を這わす男の耳にその言葉は届かない。
(狂っている)
そう、想われ、繰り返し想い、想い続けていた。
繋がり合う…… 繋がり合っている。
本来ならその想いを寄せ、想い合う少年へと捧げるべき行為であった、それが…… 今 目前にある現実は、父親ほど大きく歳の離れた男。
それも幼き頃より見知った、優しかったであろう叔父の顔。
抜き挿しが繰り返される度、癒えかかった傷痕が疼く。
疼きはいつしか微熱を携え、下腹部から全身へと蝕みを拡げていく。
同時に視点がぼやけ意識が薄らぎ、何かと……