ン-1
俺は店を飛び出した真子ちゃんを視線で追いかけて。
いつまでも店の入り口を眺めていた。
「おい。追いかけなくていいのか?」
今まで真子ちゃんが座っていた席に、いつの間にか大将が座っていて。
「い・・・・え。フラれたみたいです」
そうつぶやくのが精いっぱいだった。
「あ?今まで、おてて繋いでイチャイチャしてたのに?」
「次の恋は上手く行くわ。と慰められました」
「あ〜・・・そうか」
「俺が、言いたいことも分かってるって言われました」
「へ〜」
「合コンに行くって言ってました」
「へ〜」
大将はたいして気にした風もなく
「飲むか」
と強い酒を店員に持ってこさせた。
「あ。いえ。明日もあるんで」
「関係ねぇよ。好きなオンナにフラれたんだ。飲め」
そう言って俺と大将は遅くまで二人で飲んだ。
山崎君と井上さんもかなり遅くまで二人で飲んでいた。