序章-1
【ウルトラレディ】
【序章】
「あっ、あっ、あっ、出して、出して、中に、中に、いいわ、いいわ、イクッ、イクウ、あああん」
快感に女体を捩らせながら、女は男の激しい精の迸りを体の奥深くで受け止めた。
この時に新たな命を授かった女だったが、それが未来の騒動の始まりになることなど知る由もなかった。なぜならその騒動は、その後の人生を幸せのまま全うし、女が長寿を終えた以降のことだからだ。
無限に広がる大宇宙。そこには無数の銀河が美しく煌めいている。
それぞれの銀河には、数千億単位の恒星が存在し、それら恒星の一つ一つが輝くことで、銀河の美しい煌めきが形成されていた。
またその恒星を母なる太陽として、幾つかの惑星が周囲を公転することで系を成し、それぞれの恒星系の調和を、ひいてはそれが属する銀河系の調和を保っていた。
そんな広大な大宇宙の一角で、一つの小さな【光】が自身の属する銀河系を離れて、目的の星に向かって超高速で移動していた。
それは、地球から遥か遠く離れた別の銀河系から、さらにその銀河系の中で一際明るく輝く恒星から解き放たれた【光】だった。
その【光】の明るさは、母なる恒星に比べると、ほとんどわからない、ホンの僅かに輝く程度の明るさだった。
しかし、母なる恒星から離れるに従って、その【光】本来の明るさが浮かび上がり、暗い宇宙空間では一際美しい煌めきを放っていた。
【光】は母なる恒星を飛び立つと、果てしない距離をモノともせず、想像を絶する速さで移動し、僅かな時間で目的の星に到着した。
【光】はその目的の星、地球の大地へと人知れず舞い降りていった。
それは、後に人類に対して多大なる影響を与える【光】の来訪だったが、それに気付いた者は居なかった。
仮にその【光】を見ていた者が居たとしても、それが数十年後に起こる騒動と結び付けることは、到底不可能なことだった。
人類が【光】の来訪に気付かないまま、凡そ20年の時が経った。
するとまた、新たな【光】が、前回の【光】と同じように、ひっそりと地球に舞い降りた。
しかし、【光】の来訪はそれだけに止まらなかった。その後も細かい周期は一定ではないが、凡そ20年ごとに2回、前回までの【光】と合わせて、計4回の小さな【光】が地球に舞い降りていた。
それぞれの【光】の種類は同質だったが、地球に来訪する度に、その大きさは倍々に大きく変化していった。
しかし、それまでの【光】の大小の差は、その後に現れた5回目の大きな【光】に比べると、ほんの僅かな差だったといえた。
そして人類は、誰もが気付いた5回目の大きな【光】の来訪で、それまでの常識が覆されたことを知った。
そして21世紀中頃の地球。
21世紀も半ばを過ぎる頃、世界の情勢は大きく変動していた。
世界各地で起こるテロの拡大や、地球全土を震撼させるような事件の多発、その範囲は宇宙にまで範囲を広げ、新たに設けられた制宙権にも影響を及ぼす勢いだ。
また、積み重なる環境破壊の影響による、大災害発生の頻度の多さも無視することはできない。
そして、一番の問題は、世界が混沌とし始めたこの時期、突如各地に謎の巨大生物が出現するようになったのだ。
過去に於いても、地球に存在しえない巨大生物を、人類は宇宙から来た生物【星獣】と呼ぶようになった。
新たなる混沌の種を前に、疲弊した人類は、ようやく万物の霊長の立場を思い出し、各国が一つに纏まることを選択した。
そして、20世紀後半から、まったく本来の機能を失った国際連合になり替わり、対テロ、対暴動、そして特に対モンスターに重きを置いた機能を有する【地球防衛連合】が新たに創設されたのだった。