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例えばこんなカリキュラム
【二次創作 官能小説】

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〜 数学・紹介 〜-1

〜 33番の数学・導入 〜




 『恵子』という名前を奪われ、『33番』という無機質なプレートを首から提げられた私。 いまでは『33番』と呼ばれても違和感なく返事ができるようになった。 こうして身体は勿論、心も少しずつ書き換えられてゆくんだろう。

 『学園』のカリキュラムは、すべてに陰湿な意図が隠されている。 自分で自分を貶め、苛み、ミジメにさせる工夫が仕組まれている。 しかも『社会にでるため』という名目であり、私たちは常に感謝しつつ受け入れねばならない。 自分を苦しめて嘲笑う教官に媚諂(こびへつら)って過ごす屈辱は、いつまで経っても本当の意味で慣れるなんてできそうにない。 私にできることは、感情を殺したマネキンになって、作り笑顔でやり過ごすことだけ。

 『学園』の教員は全員が敵であり、棘であり、障害だ。 誰一人私たちの味方になんて、なってくれない。 みんな私たちを虐めて喜ぶサディストだ――そう思っていた時期が私にはあった。 1学期途中から『数学』が始まるまでは、私はずっとそうだった。

 『数学』が学園で放つ異色に気づいたのは、最初の講義の、まさに最初の1分間のことだった。 
 担当の『17号教官』は、チャイムと同時に静かに教室に入ってくると、号令をかけて直立不動になった私たちに話しかけた。 その口振りは、初対面の印象通りの穏やかなものだった。

 中身は訓戒でも指示でもない。 学園では異例というべき、いたって静かな『自己紹介』だった。

『こんにちは。 今日から皆さんのクラス、Cグループ2組の数学を担当する17号です。 みなさんと同じ、この学園を12年前に卒業しました。 教員になってから今年で8年目なので、そろそろベテランになったのかな、と思っています』

 私たちは直立して膣を拡げ、身体の中を晒しながら、ポカンとなる。私たちに自分のことをほんの少しでも教えてくれた教員なんて、担任の2号教官を含め、これまで誰一人いなかったからだ。  言葉遣いも、丁寧かつ敬語を織り交ぜたもので、何度も耳を疑った。 私たちに敬語をつかってくれる教員なんて、過剰敬語の皮肉を除けば、ちょっと思い当たらなかった。

『数学は記号と論理の学問です。 お互いのイメージを素早くやり取りしなくては、数学の力は伸びません。 ですので言葉遣いは、最低限の礼儀は必要ですが、出来るだけ簡潔なものが望ましいですね。 みなさんは学園において――私が学生の時もそうでしたが――膣を『チツマンコ』といったり、胸を『ブリブリミルクタンク』と表現しなければなりません。 けれど『数学』の時間は、そいうった表現を禁止します。 『膣』『乳房』『肛門』といった、なるべく簡潔な表現を心掛けましょう」

 他の教科とは真逆の方針に面喰(めんくら)い、私たちは顔を見合わせた。 もしかしたら新手の罠かもしれない、そんな悪寒が脳裏を過(よぎ)った記憶がある。 けれどもそんな私の危惧は、幸いなことに的を外れていた。

『私も、学園の教員として最低限の指示は出しますが、皆さんに余計な圧迫を加えないよう心掛けます。 まず、今の姿勢を解いて、膝を揃えて椅子に座って下さい。 そうです。 あ、違う違う、お股は拡げっぱなしじゃなくていいんですよ。 数学に集中するためにも、必要な時は拡げてもらいますが、基本的には背筋を伸ばしてシャンと座りましょう』

 いままでの私たちが腰かける姿勢といえば、或る時は膝を拡げて乳房を自分で揉みしだき、或る時は口をバカっぽく開いて犬のように舌を伸ばし、或る時は椅子から伸びたエボナイト棒をお尻で咥えてヌプヌプ動かす。 それでいて喘いだり苦悶を浮かべたりするのはご法度で、あくまで顔は平静を装ったまま振舞うことを要求されていた。 

 それに比べて、何という違いだろう。 全裸に首輪姿とはいえ、表情と心境が一致する。 膝を揃え、背筋を伸ばすことを認めてくれるという、たったそれだけのことだ。 それでも心の底の方で、17号教官に確たる好意が芽生えつつあった。 



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