ッ-3
「清水さん・・・」
「ん?」
「昨日は酔ってしまってすみませんでした」
「いや」
「私が酔わなければあんな事には、ならなかったと思います」
「・・・・」
パンを食べながらじっと静かに私の話を聞いていた。
「清水さんは今、好きな女性はいるんですか?」
「・・・・」
「その人のために私にいろいろ聞いているのでしょうか?」
「・・・だったら?」
「私、昨日のことは絶対に誰にも言いません。
清水さんがその人に告白するのを邪魔したりしません。安心してください」
清水さんはパンを噛み下し、コーヒーで流し込んだ後に
「好きな子はいるよ」
小さくつぶやいた。
あぁ・・・やっぱり。
「ごめんなさい」
そういった私に清水さんは何も答えてはくれなかった。
モーニングを食べ終わって
二人でお店を出て、無言で会社まで歩いた。
きっと・・・
距離的には大したことがなくて
時間もさほどじゃなかったと思うのに
とても長い距離に思えた。
私、清水さんがその女性と上手くいかなきゃいいと思ってる・・・?
昨日、同期会の時にそばにいてくれたことや
みんなの愚痴を上手に聞いてくれたこと。
あのキスの時に、離れたくないと思った。
ほんの数日前に会った清水さんに、偉そうなことを言って
会社では何の接点もない人と、こんな一緒に朝を迎えるなんて。