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悦びの種
【熟女/人妻 官能小説】

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第11話 真実への航路 -1

「木本先生・・・どうしてなのですか?」

ようやく、校長は涙声ながらも言葉を発した。
あいかわらず、横を向いて視線を下げままだったが、その校長の痛い気持ちは十分に伝わっていた。

「わ・・分かりません。ただ、無我夢中で・・・・・・」

言葉の通りに、僕は愛欲に溺れて我を失っていた。
それは、さかのぼる事一週間前の校長室での件以来に目覚めた、校長に対する性癖からだろう。

「そんな・・・それでは、木本先生までも教頭と変わらぬ目線で私の事を・・・・・・・。歳も離れてますし、まさかこの様な年増に興味など示そうと思いもよりませんでした。だから、信じていましたのに・・・・・・・」

「ええ・・・無論、初めは眉唾事で聞いておりました。まさか、校長の様な方が僕の様な若い一教師に、契約セックスなど大それた相談事を持ちかけると思いも寄りませんでした。ただ、正直に申し上げますと、契約セックス言えども所詮は男女間の関係。一週間前の校長室での一件以来、僕は校長の事を意識してしまったんです」

僕はうなだれたままだったが、顔が一気に紅潮していくのが自分でも分かった。
言葉の表現は遠回しであっても、意識するとなれば男女間の関係でしかあり得ない事。
つまり、母親とも変わらぬ校長の様な女性に、好意を寄せてる事を打ち明けた事にもなる。
それでも、心の奥底に眠る真意を伝えた事による、開き直った達成感はあった。

「確かに、木本先生の言われるとおりに、契約セックスを成立させるには、ある程度の男女間の意識は必要不可欠かと思っておりました。それは、この前校長室で向き合った時から、お互いが熟知していたはずです。それが、今の木本先生が言われるその意識するとはつまり・・・教頭と同じようなお考えで、私と向き合ってたのですか?。まさか・・・あの様な卑劣な仕打ちを・・・・・・・」

「そ・・それは違います!。もし、僕が教頭と同じように向き合っていたのなら、あのまま力尽くにでも、校長の身体を嗜む事は出来たはずです。それが出来なかったのは、やはり・・・・・・」

僕の言葉は止まっていたが、心の奥底で言い出せない想いが、校長に対してあるからだろう。
その想いに、少しづつ僕の真剣みが伝わってきたのか、落ち着きを取り戻した校長は、僕の方に視線を送る様になってきたのが、俯いていても分かった。

「どうなされたのですか?。何か私に、言いにくい事でも御ありなのでしょうか?」

しばらく黙ったままの僕に痺れを切らせた校長は、覗き込むように訪ねてきた。
涙声もすっかり収まり、平穏な様子も伺わせていた。
僕も、どこか気持ち的に楽になったのだろう、親身に訪ねる校長に対して、再び目覚める母性愛。
今しかない・・・僕の気持ちの全てを打ち明ける覚悟が出来ていた。

「それは・・・何度も申しますが、校長を意識してしまった事・・・・・・。男女の身体の関係だけで無く、気持ち的にも芽生える校長との関係・・・・・・。僕も、今は何から御伝えして良いのか気持ちの整理が付きません。ただ、分かって頂きたいのは、教頭と同じ様に力尽くになれなかったのは、その証からだと思ってます」

気持ちが、真意的である事を伝える為に、校長のまなざしに視線を向けて僕は答えた。

「き・・気持ち的にも芽生える?。私には、木本先生のおっしゃる事が良く分かりません。ただ、私達の関係は同じ学校の校長と教師の立場であり、上司と部下の関係でもあります。さらに、親子ほども歳も離れておりますから、この様な不適切な関係は、契約セックスの名の元に置いてでも無ければ成立しないものと思っておりました。ですから私は、お若い木本先生にお願いしたのです。それを、お忘れになられたのですか?」

校長は、平常を装うように言葉を返してくるが、どこか動揺を隠し切れずに目だけは泳いでいた。
僕の遠まわしの言葉にとぼけてはみるが、薄々と真意を感じ取ったのだろう。
僕は、その気持ちに畳み掛けるように続けた。


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