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悦びの種
【熟女/人妻 官能小説】

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第13話 導かれた春-2

「分かりました・・・私も木本先生に御理解頂けるよう、なるべく包み隠さずお話をさせて頂きます。まずは・・・少し話が反れますが、私の中学時代の思春期からお話させて下さい。当然の様に、この年頃となれば自然と恋愛などに興味が沸く時期でもあります。ただ、私の場合は財閥でもある家の跡継ぎでもありますから、その様な余裕などは無く、勉強に明け暮れるような毎日でした。それでも、肉体的には常に、日々大人の身体へと成長して行き、異性に対する向き合い方も変わりました。男女間の行く末に対しても、ドラマの様な彩られた世界だけでは無く、誰もが通過する、現実味のある生々しい世界を意識するようにもなりました。つまり、お互いの愛情表現を認識する上で、最後に辿り着く行為はセックスである事を、この年頃で理解できたのです。その時は、ただ男女が裸で抱き締め合うだけの行為としか思ってませんでしたが、学校で習った知識と供に、自然と身体が疼く様にもなり理解する事ができました。私は、度重なる勉強のストレスから逃れるかのように、その疼く身体のはけ口を、自分で満たす事も覚えました。特に、夜の勉強の合間には、頻繁に行為に没頭したのを今でも覚えてます。その時に思い描いたのも、ドラマなどのラブシーンで良く見掛ける『大人の男性』・・・・・・私は日々、その『大人の男性』との行為を生々しく想像しながらも、疼く身体の欲求を満たしておりました。ここまでお話させて頂き、なぜこのような事を木本先生にと・・・思いでしょうが、ここからが本題に繋がるお話になります」

校長は、長々と思春期の赤裸々な行為を、なぜか僕に打ち明けていた。
正直、校長の立場からすれば、あまりにも浅はかな事で、僕を不可解な気持ちにもさせた。
だが、その家庭教師との関係を裏付けるには、重要な事柄でもあった。

「先にも述べましたが、私が二学年に進級すると、家庭教師もその学年の担当に代わります。それで、今までは女性の方でしたが、新しく担当された方は男性でした」

「つまり・・・校長の重要な過去に関わりのあった、その家庭教師の方になるわけですね」

「ええ・・・その通りになります。今日に至るまで、私の男女間の拒絶までも招いた運命の人・・・その出会いは、二学年に進級するとほぼ同時に訪れました。私が授業を終え自宅に帰宅すると、お手伝いの者に案内されたその家庭教師の方がすでに待っておりました。ちなみに、私の家系は祖父から両親までもが、財閥の経営に携わり、家の身の回りの世話は、年配の女性のお手伝いに全てを託しておりました。そのお手伝いが簡単に紹介を済ませると、すぐに私は家庭教師の方を部屋に案内して、二人きりとなりました。すると、なぜか胸は高まり、動悸も激しく止まりません。一学年の時は、女性の家庭教師が担当されてましたが、今度は男性の家庭教師・・・・・・つまり、性的にも意識してた『大人の男性』にもあたるわけです。後々に分かる事になるのですが、歳は二十代後半くらいで妻子もおりました。それでも私には、まるで木本先生の様な、好青年にも映ったんです」

最後は、心なしか顔を赤らめながら話してるように見えたが、それは好意的な家庭教師に対して僕を重ね合わせた事への恥ずかしさからだろう。

「先ほども言ってましたけど、その家庭教師の方が、僕に良く似ているという事ですか?」

「そ・・それは、あくまでも雰囲気でありまして、今の木本先生を見ていると、その当時の面影が多少なりと蘇ってくる様な感じなんです」

たじろぐ様子からしても裏を返せば、僕に対する好意的な一面を、ひた隠しする様にも伺われた。

「それで、その家庭教師の方と重ね合わせて、契約セックスの相手として僕をお選びになられたと言うわけですね」

「え・・ええ・・・そういう事にもなります。ただ、誤解の無いように受け止めて欲しいのは、私が家庭教師の方に対して好意的であっても、それと同様に、木本先生の事を思ってるわけではありません。私が木本先生を選んだ理由には、もう少し深い訳があるのです。その辺の所を、これから掘り下げて順を追って説明させて頂きます。正直、ここまでお話するには、今まで以上に私の赤裸々な過去に踏み入れる事にもなります。ですから木本先生には、十分に御理解を頂くようお願いしたいと思ってます」

「もちろん僕にも関わる事でもありますから、校長が許す限りの範囲で、お話を伺いたいと思っております」

「ありがとうございます。木本先生・・・・・・」

校長は深々と頭を下げると、一瞬身構えるような表情を伺わせた。
まるで、何かを覚悟するかの様に、凛とした姿勢を見せた。
その校長の様子からしても、これから打ち明ける事の重大性は、壮絶な過去への核心に迫るものだった。

―つづくー


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