〜 理科・物理 〜-3
力学の次は『波』分野だ。
1つ。 光の屈折角と反射の仕組みから、光ファイバーの働きを説明する実験だ。
極細かつ長大な光ファイバーを用意する。 これは、いわばカメラのない内視鏡だ。 被験者は四つん這いになり、喉の奥までみえるようにあんぐりと口を拡げて待つ。 実施者は光ファイバーを口から喉へ、喉から食道へ、食道から胃へと挿入する。 そうして胃、小腸、大腸と、ファイバーが粘膜に触れる手ごたえを頼りに、奥へ奥へと繰り出すのだ。 やがて光ファイバーの先端が、つぷり、肛門を突破して顔をだす。 口から肛門まで、一本の光ファイバーで貫かれた格好。
肛門から顔を覗かせた光ファイバーの断面にレーザーポインタをあてる。 レーザーはファイバーの中を反射しながら進み、やがて口で咥えた部分を通る。 被験者が自分の口から伸びる光ファイバーの中に、肛門で照射されたレーザーの色を認めたとき、実験は成功の運びとなる。
2つ。 凸レンズによる実像投影により、焦点距離を求める実験だ。
被験者は机の上に横たわり、うなじ、あご、胸、お腹、足が水平に伸びるよう、腹筋に力を込めて足を僅かにもちあげる。 そこで臍に凸レンズを、鼻の孔に蝋燭をたてる。 足の指でスクリーンを抓(つま)んだところで準備はできた。 蝋燭に火をつけ、足を前後させ、スクリーンにピントが合う場所を見つけることができれば、あとは簡単な計算で焦点距離が求まるだろう。 もしもピントを合わせる前にロウが鼻の孔を覆ってしまったら……熱による痛み、火傷だけでは決して済まない。
パラパラ、この図柄を自分たちで再現するかと思うと、込みあげる吐気が我慢できない。 それでもどうにか嗚咽を押さえてページをめくる。 いずれ私達に訪れる宿命なんだ。 現実から目を逸らしていきなり本番を迎えるよりは、私は覚悟を決めて臨む道を選びたい。
3個目のコラム。 波を再現する器具『ウェーブマシン』をヒトで再現する実験だ。
イラストには長くて薄い合板が描いてある。 次の図では、やや背中を反らしたままお腹を床につけ、爪先をピンと伸ばした全裸の少女の姿がある。 3番目の図では、20人を超える少女が先ほどの態勢をとって、空中においた合板の上でバランスをとっていた。 端にいる女性が足をあげると、振動が伝わり次々に隣あう少女が足をあげる。 その様子はまるで足の裏が描くさざ波だ。 大きく、或は小さく揺れながら、機械の一部となった少女たちは無表情で足を上下させるのだろう。
4個目のコラム。 同じ振幅の波を重ね、定常波を起こす実験だ。
壁の腰あたりの高さに取り付けられたフックに、1メートルのゴム紐をかける。 グイッとひっぱってみれば、4メートルほどになる。 引っ張っている側の先端には吸引具がついていて、第三姿勢をとって吸引具をクリトリスに設置する。 あとは腰を上下に激しく振り、壁から反射する波とクリトリス越しに送る波を被(かぶ)せれば、即席の定常波の出来上がりとなる。
5個目のコラム。 振動体を液面につけ、波面が互いに干渉する様子を観察する実験だ。
吸引具付ローターを2つ用意し、両乳首に接続する。 水槽を用意して液面上に上半身を屈みこむ。 乳首から伸びたローターが、ギリギリ液面になるまで身体を倒し、ヴィーン、ヴィーンと震える器具で水面を揺さぶる。 あとは水面に生じた波が、重なり、打ち消す様子を観察すればいい。
6個目のコラム。 音の共鳴現象を体感する実験だ。
同じ振動数の音叉(おんさ)を2つ用意する。 1つは床にそっと置く。 もう1つは、先ほど置いた音叉から30センチ離れた場所に並べる。 被験者は2つ目の音叉に跨り、音叉がギリギリ膣に接するかしないかのところまで腰を落とす。 後ろに手をついて腰をもちあげ、膣の鈴口にあるクリトリスの皮を剥く。
ボォーン……協力者が最初の音叉を思いきり叩けば、重低音があたりに響く。 途端に被験者の股間のすぐ前にある音叉が震え、同じ音を響かせる。 被験者は2つ目の音叉の振動を体感するべく、最も敏感なクリトリスを音叉に押しつけてる。 小刻みな振動を意に介さず、平静をたもったまま音が止むまでクリトリスを密着させれば実験終了となる運びだ。