お風呂で仲直り-9
今更ながら葵の家族の事何も知らない事に、奈々子は気がつく。
(自分の事ばかり考えていて、葵君について聞いた事なかった。
彼の両親は葵君が出歩いている事、どう思っているんだろう。
いくら仕事が忙しいからって、高校生と中学生の男の子をこんなに放っておけるもの
なのかな?
初めて葵君に会った時だって、夜だったし。
一人で何していたんだろう・・・?)
そんな事を考えていると葵が言った。
「奈々子さん、また妄想モード入ってる。」
「え?・・・妄想じゃないよ、考え事してただけ!」
「何考えていたの?」
「・・・葵君の事。」
「俺?」
(本当は今すぐ色々聞きたい。
でもしつこくきいて嫌われるの嫌だし・・・。
なんかさっきも話したくない雰囲気だったから、
自分から話してくれるの待った方がいいよね・・・。)
「奈々子さん、俺の何の事考えていたの?」
「内緒!」
「なんだよ、内緒って。気になるじゃん。」