お風呂で仲直り-15
思わず奈々子は目をぎゅっとつぶってしまう。
そんな様子を見て、葵は奈々子が持っていたスポンジをそっと手に取り、
自分で洗いだした。
バスタブにお湯が溜まるザーッと言う勢いの良い音だけが、浴室に響いていた。
それから彼は髪の毛を洗いシャワーで流す。
そんな当たり前の行動から奈々子は目が離せなかった。
「奈々子さん。」
葵に呼び掛けられるまで、奈々子は彼を無意識で見つめていた。
「・・・そんなに見つめないでよ。照れる。」
「わっ、・・・ごめん。」
彼女は我に返る。
「あ、もうお湯溜まってきたね。俺先に浸かってていい?」
「うん・・・。」
彼がバスタブにザブンっと勢いよく入った。
「あー、やっぱりお風呂は気持ちいいな。いっつもシャワーばっかりだから。」
「あ!わかる。暑いとついついシャワーばっかりになっちゃうよね。」
「奈々子さんも早くおいでよ。」
「・・・うん。」
奈々子は束ねていた髪の毛をほどき、シャワーをあてる。
彼女が髪の毛を洗っている間、葵もその様子をずっと眺めていた。
「やだ、葵君そんなに見ないで!」
「さっき奈々子さんも見ていたでしょ?仕返し。」
「だって、それは・・・。」
「だって何?」
「あの・・・、すごいセクシーだったから・・・。」
「そうなの?奈々子さんもセクシーだよ。」
「もう、変なこと言わないで!!」
「変なことじゃないよ。それより、終わったらもうこっちにおいでよ。」