元カレ-2
しかしドアを開けた瞬間、彼女は目を疑った。
そこに立っていたのは、先月別れたはずの幸雄だったのだ。
仕事帰りのようで、いつものようにスーツを着ていた。
「よお、奈々子。久しぶり!」
何食わぬ顔で幸雄は彼女の家へと上がり込んできた。
「―――幸雄? 何しに来たの・・・?」
「何しにって、お前に会いに。それにしてもお前さー、何で連絡よこさねーんだよ。」
「え?だって、私たち別れたでしょ?」
「は?何言ってんの?いつ俺たちが別れたって?」
「最後に会った日・・・。私、さよなら言ったよ。」
「お前が一人で勝手にキレて帰っただけだろ。」
彼女は目を丸くする。
別れたと思っていたのは自分だけだったようで、彼女は衝撃を受けた。
とっさに幸雄に迫る。
「幸雄だって1ヶ月間連絡よこさなかったじゃない!」
「冷静期間だよ。しばらく距離置いたら、頭冷えただろ?
お前が怒ったのって初めてだったからな。」