友人の裏切り-1
「アイム、フィッシュ、イートッ!!(私は魚を喰らう)」
巨大水槽の前で膝を曲げ、ダンディ○野のあのポーズをする。案の定怯えるように去っていくサケやサクラマス。
「何だ、骨のない連中だな、まぁ骨は抜いて醤油漬けするのが旨いけどな。」
「巴ちゃん…、恐ろしい子♪」
「全くもー、水族館行く度にそれするのやめてって何度も言ってるよね?」
「バーカッ!これやれっつったのテメーだろ、「いいからやって♪」って。」
いつもの4人で水族館へ足を運ぶ事にした私達。
「本当なの?一条君…、弓道部の合宿に行くって。」
巴ちゃんがバレーに熱中している間、廊下で佐伯君と共に彼と話をする。
「うん……。」
彼は活気が抜けたような顔で笑顔でそう首を縦に振る。
「蓮、巴には。」
「言ったよ、……驚いてたよ、彼女。」
「……。」
一同に重い空気が漂う。
無理もない、大好きな人が遠い所へ行ってしまうんだもの、幾ら一カ月程度で戻って来る
とはいえ。
「どったの!?若葉っ!」
「!!い、いえ。」
思いに老けていたら彼女に声を掛けられ、ハッと我に返る。
「向こうでお魚サマが触れれるタッチプールがあるってよ、行こう!」
「は、はいっ!」
無邪気な子供のように私の腕を引っ張り、そこへ向かう。
「良かった、巴…思ったより元気そうで。」
「蓮…。」
一番心配なのは他でもない一条君だ。
「でも、分からんぞ…見栄貼ってるだけかもしれんし。」
「まさかぁ!彼女はそんな軟じゃ…。」
「二人ともっ!なーにやってんのっ!早く来いよーっ!」
「あ、あぁ!」
佐伯君同様私もそう思う。