〜 理科・地学 〜-1
〜 22番の理科 ・ 地学 〜
学園は広大な敷地にあり、いくつもの大中小校舎、グラウンド、武道場、各種棟、寮に購買まで所狭しと並んでいる。 それらを包むように林が鬱蒼と茂っており、環境としては申し分ない。 通常の休み時間に校舎外にでることはまずないし、寮と教室を往復する日々に『林』は縁がない。 だから、理科の時間に『林での研修』があると知ったとき、怖いと思う気持ちより楽しみが優った。 どうせ虐められるなら、教室の中でも外でも同じことだ。 少しでも気持ちがほぐれる分、外の方が幾許(いくばく)かマシというものだ。
教室で号令をかけ、深々と礼をした私たちは、教官の指示で登校服に着替え、第二グラウンド裏・アーチェリー場に集まった。 3列で番号順に並び、第1姿勢をとって教官の言葉を待つ。
「貴方たちが生きていくにあたり、自然に対する畏敬、理解、共感、活用、そんなものは一切必要ないんだから、勘違いだけはしないでね」
開口一番告げられたのは、
「あくまで貴方たちは『使われる』側の存在なんだから、分相応に振舞わなきゃダメ。 そこを押さえた上で、自然に関する知識をね、それなりに備えてもらいます。 いつ、どこで、何が必要になるかなんて、わかんないものね。 膣を弄りつづけて、マン汁にまみれて、クリトリスを永遠に勃起させ続けるのが貴方たちの将来なのは決まっているにしてもね」
遠慮なしに胸を抉る台詞だった。 確かに間違ってはいないと思うけれど、ハッキリ言われると気力が萎えそうになる。 まあ、今更だから、これくらいでどうにかなりはしないけれど、少なくとも切なくなるのは否めない。
「そんな貴方たちに『自然観察する機会』なんてあるわけないです。 ただ、世の中に『100%』はありませんから、この授業中に自然知識を教えます。 まずは生き物の『同定(名前を決定すること)』から行くとしますか。 教室の座学と違って復習する時間はないから、一発でビシッと覚えてよ。 それじゃ、番号順に着いてらっしゃいな」
白衣姿の20号教官は、私たちの心境などお構いなしだ。 先頭にたってアーチェリー場から『林』へと続く径(こみち)を進む。
「さーて、この時間は……そうねえ、季節的に虫は早いし、植物が無難なところよねえ。 草本類だと種類が多くてきりがないし、ミツバウルシみたいに洒落になんないヤツもいるし。 無難なところで、木本類の低木にしますか」
チラチラあたりの様子を伺いながら、ゆっくり砂利道を登れば、春の風が心地いい。 日差しと気温に励まされ、心も少しずつほぐれてくる。 やがて教官は低木の木の前で立ち止ると、枝を一本折って私達に振り向いた。
「全員集合〜」
うららかな日差しに相応しい、ゆったり間延びした号令。 とはいえ号令は号令だ。 私達は全力で走り、すぐに教官を囲んで車座をつくった。 教官は葉が5、6枚ついた緑色の濃い植物の枝を手にしていた。
「これは『アオキ』よお。 旧20世紀に斑入り(ふいり)が観葉用に流行ったから、今でも天然に斑入りが自生しているってわけね。 栄養満点で味もいいから、鹿なんかは大好物なのよね。 葉の輪郭を御覧なさい。 棘があるように見えるけど、固くないから痛くもない。 肉厚で葉緑体も豊富にあって、林床から草地まで生息場所をとわないの。 陰葉にも陽葉にもなれる葉、ということね。 はい、順番にまわして感触を覚えなさい」
「「はい!」」
近くにいた私に、教官は『アオキ』の枝を渡した。 表面を撫でると、滑々でもあり湿り気もあり、薄いというよりは詰まっている感触だった。 葉の輪郭も丁寧になぞり、一通り感覚を覚えたので次に回そうとすると、
「つぅっ!」
首輪に微電流が走り、息が止まる。 思わず教官と目を合わせると、顎で私の下腹部をさしていた。 ああそういうことか、と思う。 感触は、手触りだけでは不十分ということか。
「……」
いままで散々拡張された孔だとはいえ、青空の下にてかる肉壁を晒すのは、決して気軽にできる行為じゃない。 けれど、躊躇う素振りだけでも不遜とみなされ、罰を受けるのが私達学園生の身分だ。
くぱり。
右手で葉柄を摘まみ、左手で陰唇を押し広げる。 そのまま奥まで二本の指で葉を送り、壁に擦らせるようにして捏(こ)ねる。 それから内転筋に力を籠め、んっ、息んで膣をキュッと締める。
葉の形が膣壁に喰い込むように、そうして形や質感を膣を経て記憶するため、抽送しながら何度も収縮と弛緩を繰り返した。
ぷすり。
枝は、お尻で挟んだり、肛門にに挿したり出したりしながら、捲れる感覚を体に刻む。 両手で枝を股間の下に支え、体全体を上下させて、直腸内部まで枝を呑み込み、また吐きだす。 枝を動かして肛門に出し入れするのではなく、枝をジッと固定した上で体全体を動かす理由は、そうすることで『枝』に敬意を払うためだ。 一般的に身分が下であればあるほど、動作を大きくとらねばならない。 私たちは枝を味あわせていただく立場なので、『枝を固定して自分の孔を動かす』動作が相応しい。