痴漢-5
気付くと服の中でキャミソールがめくられていた。胸の上までまくられていて、簡単に下ろすことは難しそうだ。
襲われる快感で火照った肌は、冷房の効いた車内とはいえ汗で濡れていた。そのため、白いブラウスが汗で透けて、服として意味をなさなくなっていた。かろうじてキャミソールで隠せていた胸も、まくられてしまった今では、形の良い乳房や桜色の乳首が服の上からでも良く分かる。
その姿は、裸体の胸よりも逆に艶かしく、痴漢はより一層興奮を覚える。
先ほどと同じように、乳首や乳房へ刺激を与えられるが、それは先ほどとは比べものにならない強いものだった。
上からも下からも刺激を与えられ、体がとうとう限界に達しようとしていた。一人でしている時に感じたことのある快楽の波が、怒涛のように押し寄せてくるのを絵理は感じ取る。
「んぅ!んぁー!んぅ、んぅ、んぐぅっ!」
絵理はその波になんとか抗おうと意識を外へ向けようとするが、しかし痴漢達の刺激によって引きずり戻される。もう、無理……と抵抗を諦めた瞬間、
「ん、んぁ、んぅーーーーーーー!」
頭の中が真っ白になった。一人でしていたときよりも強い快感に、全身が性感帯となったような錯覚に陥る。いや、ブラウスやスカートが肌に触れるだけで快感を覚える辺り、あながち錯覚でもないのかもしれない。
快感で立っていられなくなった絵理だったが、崩れ落ちる前に、ドアにもたれることでそれを避けた。それと同時に駅に着いたため、電車が止まった。外を見るが、東京駅ではなかった。そして開いたドアは、無情にも反対側のものだった。
後ろにいた痴漢が、絵理の口からハンドタオルを取り去ると、絵理を見ながら名残押しそうに降りて行く。背後で閉まるドアの音を聞きながら、私も降ろして……と絵理は強く願うが、ゆっくりと電車は動き出した。
突然、グイっと手を引かれ、絵理は後ろへと引っ張られた。絵理の後ろにいた人がいなくなったため、そこにはスペースができていたのだ。そのスペースに、絵理は男達によって引っ張りこまれた。
ドアとドアの真ん中まで引っ張られた絵理は、四方を男達に囲まれた。男が手を離すも、支えを失った絵理は、その場でペタンと女の子座りをしてしまう。
そして、欲望に目を血走らせた男達を見上げる。
「もう、いやぁ…」
絵理には、力なくつぶやくことしかできなかった。