初デート-20
彼女の頭は、葵の事でいっぱいだった。
今までの彼の行動を思い出す。
いつも言葉と行動で、気持ちを自分に伝えてくれていた。
(私も葵君の事が好き・・・。)
奈々子は自分の想いを認めた時、
居てもたってもいられなくなって、葵に連絡することにした。
家に着くなり夕食の準備もせず、彼に電話を掛ける。
震える指で通話をタップする。
―――留守電になってしまった。
メールにしよう・・・。
でも何て書いたらいいんだろう。
そう思っている時、電話がかかって来た。
葵だった。
奈々子は慌てて出る。
「もっ、もしもし!」
「奈々子さん、どうしたの?」
「あ、あの・・・今ちょっと話していい?」
「いいよ。」
葵はそっけない態度だった。
「あの、今度ちょっと会えないかな?」
「どこで?」
「えっと・・・その辺で。」
「その辺って?誰かに見られちゃうかもしれないよ。」
「いいの!大丈夫だから。」
「そう?じゃあ、明日うちの学校まで来てくれたら、会えるよ。」
「えっ?!学校・・・?」
「俺、忙しいんだ。」