初デート-16
「あ、ごめん葵君・・・。私がここで働いてるって知ってたんだ。
びっくりした、突然。」
「誰?あの人。」
「東海林君の事?同僚だよ。」
「同僚・・・?ただの?」
「どういう意味?」
「あの人、奈々子さんに気があるみたいだね。」
「は?何言ってんの?葵君・・・まさか!」
「奈々子さんって、時々鈍いよね。」
「え?」
「それってわざと?」
「どうしたの・・・?葵君・・・。」
「―――俺、そんなに余裕ないよ。」
そう言って葵は急に顔を近づけてきた。
彼の唇が奈々子の首筋をなぞる。
彼女は思わず彼を突き放してしまった。
「やめて!葵君、ここ・・・私の職場なのよ、誰かに見られたら・・・」
と言って、奈々子は口ごもると、続きを葵が言った。
「困る?」
彼女が言おうと思ったことを彼に言われて、反論できなかった。
「そうだよ・・・。」