出会い-9
(私は結婚がしたい。
結婚して、子どもを産んで、幸せな家庭を築きたい。
でもその夢が打ち砕かれたんだ。
結婚にメリットがないってどういう事?
私と一緒に助け合って、妥協しあって、生活していくことは無意味だってこと?)
悲しみより怒りの感情が沸き起こって来た奈々子は、
涙を流すことなく淡々と幸雄に告げた。
「・・・わかった。幸雄は私が必要ないんだね。
もういいよ、さようなら。」
「おい、ちょっと奈々子!」
初めて幸雄に反抗した奈々子に、彼は驚きの表情を隠せないようだった。
いつも彼に素直に従っていた奈々子。
従順な彼女だった奈々子・・・。
奈々子は幸雄が呼び止めるのを聞かずに、一人でレストランを後にした。
しかし幸雄は彼女を追いかけてこなかった。