出会い-6
そんな気持ちは、今の奈々子は微塵もなかった。
ふとそう考えていた時、幸雄が突然奈々子の顔をじっと見つめながら言った。
「どうかした?」
いつもの雰囲気と違うと感じ取ったのか、幸雄は尋ねた。
幸雄は鋭い。
奈々子はいつも彼の前では隠し事を出来なかった。
大事な話は後にして、今は彼との食事を楽しみたい!
そう思って、奈々子はとっさに誤魔化す。
「えっ、何が?」
「なんか顔がこわばってる。」
「うそ?・・・そんな事ないよ!なんで?」
「そう?それならいいけど。」
「ねぇ。それより私、このコース料理食べたいんだけど!
ほら、フォアグラもあるって!」
「いいよ、奈々子の好きなのにして。」