出会い-19
玄関の扉が、ガチャンとしまった時、
奈々子の心に言いようのない寂しさがこみ上げて来た。
この寂しさの原因・・・
幸雄と別れたから寂しいのか、葵がすぐに帰ってしまったから寂しいのか、
もう彼女は自分自身がわからなくなっていた。
(こんなんじゃ、ダメだ!しっかりしろ、私!
だからヤリ逃げされるって言ったじゃない!!!
ほんと、いい歳して何やってんだろ・・・。)
そう思いながら、奈々子はいつもより冷たい温度でシャワーを浴びた。
身体を洗っていると、体の節々が痛い事に気がつく。
あんなに求め合ったセックスは初めてだった。
あんなに何度も達したのは初めてだった。
7歳も年下の男の子に翻弄されるなんて・・・。
昨夜の事を思い出すだけで、奈々子の身体はまた疼きだしそうだった。
必死にその想いをこらえて、彼女は浴室を後にした。
部屋に戻ると、昨日の情事が嘘のように、ベッドが綺麗に整っていた。
(シーツ直してくれたんだ。
こんな事しなくてよかったのに・・・。)
奈々子の目に涙が込み上げてきそうになった。
しかし、ふとベッドのサイドテーブルを見ると、
小さな紙切れが置いてあることに気がついた。
そこには丁寧な字で何か文字が書かれていた。
『小田 葵 080-0000-0000』
彼の連絡先だった。
奈々子はその紙を握りしめて、泣いてしまった。