愛しい人-12
「ティアラ、俺は自分の仲間が無事でいるのか調べてくる。」
「みんなもあの廃墟に来ていたの・・・?」
「いや、あいつらが来る前にここの兵隊が乗り込んできた。
まだあの洞窟にいると思う。」
「・・・すぐ戻って来る?」
「わからねぇ。とりあえず馬を借りて行ってみる。」
ティアラはまた不安な顔になる。
「安心しろ、俺は時間がかかっても必ずお前の元に戻る。
だからそれまで俺の顔、忘れんじゃねえぞ。」
「忘れないもん!・・・でも、早く戻ってきてね。」
ティアラがそう言うと、ラウルは彼女のおでこに軽く口づけをして
「じゃあな。」と言って走り去ってしまった。
ティアラは彼の後姿が見えなくなるまで見送り、妃の待つ部屋へと向かうために、廊下を歩いていた使用人に道案内を頼んだ。
お妃様の部屋に通されると、そこにはティエラがいた。
「お母さん!」
彼女はティエラに駆け寄り、きつく抱きしめ合った。
「ティアラ!よかった、目が覚めたのね!・・・顔色もいいわ。」
「うん、ラウルがずっと傍についていてくれたの。」
「よかったわね、ラウルと会えて。」
「うん・・・私ずっと待っていてよかった・・・。」
涙目のティアラがふと顔を上げると、彼女の母親の肩越しに、母に良くにた女性が立っていることに気がつく。