投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

あるお伽噺の最初へ あるお伽噺 80 あるお伽噺 82 あるお伽噺の最後へ

ティエラの過ち-6

私は騎士に助けてもらおうと思った。
このままじゃみんな奴隷にされるか、殺されてしまう。
情けないけど、姉を頼ることにしたの。
どうにかして、姉の城へ行かなければ・・・。

その一心で、さっき転げ落ちた斜面を、無我夢中で登った。
やっとの思いで登りきると、騎士が数人、先ほど殺した盗賊を調べているようだった。


彼らは驚いた顔で私を見た。
私はすぐに盗賊に捕まっていたこと、自分の素性を話し、姉に会えるように懇願した。
騎士たちは当然、私を疑っていた。

私には自分を証明できるものはない。
・・・この顔以外は。
私たち姉妹はみんな良く似ていた。
だから、私は姉に一目会わせてください。もし彼女が私を知らないと言うのなら、
私を殺しても構わない。そう言ったの。


渋々騎士たちは、私を姉の元へ連れて行った。
姉に会えるまで、数日かかったわ。

姉は私を一目見て、気がづいてくれた。
“もう、血のつながった家族の誰にも会えないと思っていた。”
そう言った彼女に、私の疑問は沸き起こった。
どういう事?・・・聞き返すと、私たちが育った王国が滅びたことを聞かされたの。


ロイクによって。


私が育った王国は今、ロイクが占拠している。
彼は私を探すためだけに、人を殺し続けている。

廃墟と化した王国は最近、姉が嫁いだ隣国の土地の物となったそうなの。
となると殺戮を繰り返している盗賊は、この国の問題となってしまった。
それから議会で彼らを捕らえよと決まったそうよ。


私は軍隊について行きたいとお願いした。
姉はもちろん止めた。
もう誰が死ぬのも見たくないし、聞きたくないと。
でも、私にはやらなければならないことがある。
私のせいで人が殺され続けている。
愛する夫も私のせいで殺された。
それに、一緒に縄に繋がれていた村の友人達も助けなければ。


そうして私はここへ来たの。
今、この国の軍隊が盗賊たちと闘っているわ。」

「なるほどな。そういう訳だったのか・・・。」

「さあ、急ぎましょう!ティアラの身が心配だわ。」

「ああ。」


彼らは足早に隠し通路を進み続けた。


あるお伽噺の最初へ あるお伽噺 80 あるお伽噺 82 あるお伽噺の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前